【巨人】菅野、村田修一さんの前で29年ぶり偉業!東京ドームでは4試合連続完封

スポーツ報知
9回2死二、三塁、乙坂を三飛に抑えて雄たけびを上げる菅野(カメラ・矢口 亨

◆巨人1x―0DeNA(28日・東京ドーム)

 巨人は0―0の9回1死、長野が左中間へサヨナラ本塁打を放ち、引き分けを挟んで3連勝。DeNAと入れ替わって3位に浮上し、CS圏内に踏みとどまった。エース・菅野が9回を5安打無失点に抑え、2戦連続となる今季7度目の完封で14勝目。チームで年間7完封は89年の斎藤雅樹(現1軍投手総合コーチ)以来、29年ぶりの快挙だ。残り5戦。勢いのままにCS出場権をつかみ取る。

 放物線が左翼席に向かって上がった。入るか―。菅野はベンチのナインと祈るような目で、長野の打球の行方を見つめた。劇的な本塁打がスタンドに飛び込むと、万歳。跳びはねて小林と抱き合った。9回サヨナラで1―0のシャットアウト。2試合連続完封でシーズン7度目の完封となり、巨人では斎藤雅樹以来29年ぶりの偉業を成し遂げた。

 「僕だけの力で達成できるものじゃないですし、小林はじめ守ってくれている野手がいて、きょうも最後、長野さんが打ってくれた。斎藤コーチは目標にしている投手なのでうれしいです」

 試合開始前、村田修一さんが場内でスピーチ。両軍ナインへ「熱い試合を期待しています」とエールが送られた。菅野は序盤から長打警戒で丁寧に投球。2回には2連続四球を与え、4回先頭もソトに安打を許したが、後続を併殺に封じた。ピンチを脱すればグラブをたたき感情をむき出しにした。「すごい投手だと思った」という東との投手戦。小林も「本調子ではなかったが、智之はさすがだと思った」という熱投だった。

 終盤は下半身を気にする場面もあり、9回途中にトレーナーがマウンドへ。「何もなかったわけじゃない。でも別に無理したわけでもない」とマウンドを死守。気迫が白星を呼んだ。

 今でも忘れられない試合の一つが、14年4月29日のヤクルト戦(東京D)。完投目前の9回2死から畠山に逆転3ランを浴びたが、後続を抑え、その裏に村田さんのサヨナラ打で白星。「勝ち星は運も必要」と実感した。どんな状況でもマウンドで最善を尽くせば、最後にきっといいことが待っている。胸に刻んだ教訓はこの日も生きた。

 村田さんが選手会長になった14年、菅野は入団からリーグ2連覇を経験した。翌15年、防御率1点台ながら10勝11敗と負け越すと、村田さんから「ごめんな」と謝られた。「あれだけ実績のある人が」と胸を打たれた。投手、野手の壁なく接してチームをまとめる姿を菅野はずっと見てきた。

 16年からの長野を経て、今年から菅野は選手会長に就任した。「自分のことだけでなく、自己犠牲の気持ちを持った選手が何人いるか」と、坂本勇と一緒に厳しいことも言ってきた。

 チームは優勝を逃し、悔しさを味わったが、CSという目標がまだある。この日は控え選手もベンチから前のめりになり、大声を出した。常勝軍団復活へ。全員で一つになって、ここから巻き返していくしかない。

 リーグトップの防御率は2・25に向上。9完投もリーグトップだ。試合後は村田さんを、DeNAナインと一緒に胴上げした。

 「村田さんの試合が今日に決まってからずっと、勝たないといけないと思っていた。いい形で花を添えられたと思います」

 村田さんが残した全力プレー、前を向く姿勢。その魂を継承し、大きな勝利をつかんだ。(片岡 優帆)

 ◆通算15度目完封 103球は自身最少投球数

 菅野は通算15度目の完封だが、103球は自身最少投球数。1―0完封は自身2度目。この日のように味方のサヨナラ弾でマークした巨人投手は86年槙原以来32年ぶり6人目になる。

 シーズン7完封は、球団では89年の斎藤雅樹以来29年ぶり10人目(2リーグ制後)。本拠地・東京Dでは8月18日の中日戦、同25日の阪神戦、9月22日ヤクルト戦に続き4試合連続完封勝利。本塁打が出やすいこの球場で今季6完封10勝、現在36イニング無失点中と圧巻の投球を見せている。

 ◆89年の斎藤雅樹 3試合連続完封を含む11試合連続完投勝利の日本記録を樹立。シーズン30登板で21完投7完封、245回を投げて20勝7敗、防御率1・62という驚異的な好成績を残し、ともに自身初となる最多勝、最優秀防御率のタイトルも獲得した。

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