【巨人】阿部398号、球団単独1位18年連続2ケタ本塁打“長嶋魂”でCSへ

スポーツ報知
7回無死、右越え10号ソロを放った阿部(左)は、ベンチのナインとタッチを交わす(カメラ・竜田 卓)

◆ヤクルト8―5巨人(1日・神宮)

 ナインにムチを入れるような鋭いスイングだった。阿部の弾丸ライナーが右翼席へ消える。「ホームラン狙ってた」。0―7の7回先頭。真ん中に入ってきた小川の直球を捉えた。試合序盤は際どい判定にも泣かされて2打席連続三振していたが、3打席目で対応。9月16日の中日戦(東京D)以来となる10号ソロで、通算398本塁打とした。

 ミスターを超えた。これで入団から18年連続2ケタ本塁打となり、17年で並んでいた長嶋茂雄(巨人終身名誉監督)を抜いて球団単独1位に立った。阿部にとっては、入団1年目の指揮官。当時、試合の攻撃中は長嶋監督の近くに座って帝王学をたたき込まれたというが、最も印象に残っていることがある。「負けていた試合で、俺が座っていた後ろの方から『バコーン!』ってものすごい音がしたから振り返ってみると、監督がバットケースを思い切り蹴り上げていた。勝負への執念というのかな。そういうことも教えてもらった気がする」

 若い頃から培ってきた勝負師としてのスタイルは、18年たった今でも変わらない。シーズンも終盤を迎え、阿部はスタンス幅の狭いフォームに修正した。「この形のほうが体重移動がしやすいし、ミスショットが少ない。チームが勝つために何ができるか考えないと」。15年のヤクルトとのCS最終Sでも、普段よりバットを指2本分短く握るコンパクト打法で打率6割8分8厘をたたき出した。勝利を最優先するためには、どんなことでもやってきた。

 阿部の一撃から目を覚ました打線は終盤3イニングで5点を返したが、及ばなかった。「(記録は)どうでもいい。チームが負けたら意味がないから」。ワンサイドで終わらせなかった背番号10の気迫を、無駄にしてはならない。(尾形 圭亮)

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