【巨人】担当記者が見た西村健太朗 優しい男の「熱さ」感じた監督室直談判

スポーツ報知
17年、ヤクルト戦で100ホールドポイントを挙げる

 巨人・西村健太朗投手(33)が今季限りで現役を引退することが2日、分かった。近日中に正式発表される。2012、13年は守護神としてリーグ連覇に貢献。球団新記録のシーズン42セーブもマークした。先発、リリーフとして長年チームを支えたが、今季は7月から右肩痛に苦しみ、プロ15年目で初の1軍登板なし。来季の構想から外れ、自らを育んだ愛する巨人でプロ野球人生を終える決断を下した。

 優しく、控えめで謙虚。しかし、マウンドに上がると熱くなる。そんな投手だ。

 自らを「僕は地味だから目立たなくていい」とし、表に出たがらないタイプ。若手の運転手役を買って出て、球場まで車で送迎するのは日常だった。夢の1億円プレーヤーになっても庶民的なままで、後輩から慕われる兄貴的存在だった。

 マウンドに上がると対照的で、内に秘める闘争心はすごいものがあった。08年中日とのCS第2ステージ(東京D)初戦、1死満塁のしびれる大ピンチで登板し、中村紀を内角シュート攻めで三ゴロ併殺。「僕はあそこに投げないと抑えられないから」と平然と言う23歳は、たくましかった。

 守護神として優勝に貢献した13年。4連投を避けたい川口投手コーチから、「今日は休め」と通達された試合があったが、振り切って自ら監督室に行き、原監督に「今日もベンチ入りさせて下さい! お願いします」と直談判した。登板はなかったが、あの時は健太朗の「熱さ」を実感した。

 「打たれた試合の方が覚えているんです」と、常にリリーフの宿命と戦い、逃げずに向き合ってきた。メンタルが弱い、なんて言われることもあったが、本当にそうだったらこれだけの実績を残せるはずがない。33歳。けがで少し早い引退となったが、長年のフル回転に心から拍手を送りたい。(巨人担当・片岡 優帆)

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