【巨人】現役引退を決断の山口鉄 「肩がいつ飛んでもいい」覚悟…担当記者が「見た」
スポーツ報知

巨人の山口鉄也投手(34)が今季限りでの現役引退を決断したことが4日、分かった。育成選手として入団し巨人一筋13年。史上初の9年連続60試合登板を達成し、長年ブルペンの柱に君臨した。フル回転で原巨人の2度のリーグ3連覇に貢献も、今年は左肩痛に苦しんで1軍定着後初の1軍登板なしに終わり、野球人生にピリオドを打つ決断を下した。球史に残る鉄腕の偉業を担当の片岡優帆記者が「見た」で振り返った。
絶対的リリーフとして数え切れないほどの修羅場をくぐり抜けてきた山口鉄。どれだけ実績を残しても「本当に毎回、ブルペンでは緊張しているんです」と話していたのが印象的だ。
マウンドでは表情を変えず強気の投球。緊張しているようには全く見えなかった。「グラウンドに出たらもう開き直るしかないと思ってやっています」と強打者をねじ伏せてきた。
9年連続60登板という大偉業。体にはとんでもない負担がかかっていたはずだが、山口鉄は最後までポリシーの全力投球を貫いた。普段は大きなことを言わない控えめなタイプだが、「肩がいつ飛んでもいいと思って投げている。ガムシャラに腕を振るのがスタイルなので」。この覚悟を聞いた時は鳥肌が立った。
1回無失点に抑えた9月8日のイースタン・西武戦(G球場)。空振り三振を奪ったチェンジアップのキレに、ネット裏で見ていた西武の若手投手陣が「すげえ」「今の球やばい」と驚いていた。そのことを山口鉄に伝えると「それはうれしいね。でも直球は誰も褒めてくれないだろうね」と自虐気味に笑っていた。
左肩痛でうなるような速球はもう投げられないが、やりきった。引退と聞いて本当に寂しかったが、「悔いはない」という言葉を聞いて少しだけ心が晴れた。(巨人担当・片岡 優帆)