【巨人】菅野の12球!由伸采配に応える男気リリーフでCS「準備していた」

◆阪神4―9巨人(9日・甲子園)
チーム全員の思いを背負って腕を振った。菅野がメルセデス、畠、山口俊に続き、クローザーとして甲子園に君臨した。9回2死。代打・原口を152キロ速球で二飛に抑えると、右拳を強く握った。「みんながつないでくれたマウンドだったので、良かったです」。シーズン最終戦。エースの熱投でCS出場を決めた。
9―4の9回。巨人ファンが沸く左翼席横から、リリーフカーで登場した。119球完封の4日の広島戦(マツダ)から中4日。事前に由伸監督から直接、頼まれていて覚悟はできていた。「いく準備は前回登板を終えた時からしていた」と1回打者3人に対し投げた12球中、6球が150キロ超えの完全投球に、捕手の小林も「さすがです。気迫というか、こっちも感じるものがありました」と心を震わせた。
昨秋、由伸監督から18年開幕投手に指名された。超異例の早さだった。指揮官から「チームの顔は菅野と坂本」と絶大な信頼を寄せられ、2人で厳しいことを言って引っ張ってきた。
2月のキャンプ。菅野は岡本とフリー打撃で対戦して強烈な打球を打たれた。公で「岡本あたりにいい当たりをされているようじゃダメ」と辛口のコメントをしながら、ベンチ裏で「いいねえ、あの感覚を忘れちゃダメだよ」と褒め言葉も贈り自信を持たせていた。
若手底上げという難題に向き合い、シーズン中も若い選手を呼んで「全員で戦っていこうぜ」と呼びかけるなど、チーム一丸の精神を共有してきた。菅野は若き4番・岡本の成長を感じながらも、大黒柱として決意を新たにしている。
「まだまだ和真(岡本)に引っ張られるようなチームじゃどうしようもないと思いますし、まだまだ僕たちが引っ張っていかなきゃいけないと思います」
リリーフは1年目の13年10月8日ヤクルト戦(東京D)のCSに向けた調整登板以来2度目。実質、プロ初だった。3月30日の開幕戦、菅野の第1球から始まった由伸巨人の18年公式戦は143試合目、今季28登板目、202イニング目となった菅野が「最後の砦(とりで)として締めた。
「これからは1勝1勝の重みが違いますし、全員で一致団結して戦えれば。一発勝負なので結果が全て。もう内容は必要ない。僕が打たれても10点取られても11点取って勝ってくれればそれでいい。結果にこだわってやっていきたいです」
13日から始まるCSで由伸監督と一日も長く野球をやるために―。菅野の12球がナインに勇気を与えた。(片岡 優帆)