【巨人】長野、鉄腕の哲学が教訓「神宮でみんな悔しい思いをしていた」先制弾でエース援護

スポーツ報知
先制の中越え本塁打を放った長野

◆2018 マイナビ クライマックスシリーズ セ ヤクルト0―4巨人(14日・神宮)

 表情ひとつ変えず、長野は淡々とダイヤモンドを一周した。0―0の2回2死。8月16日(神宮)にプロ初完封を許した原の低め直球を押し返すと、打球はバックスクリーン左へ飛び込んだ。「ギリギリでしたね」。そう控えめに振り返ったが、強烈な打球音が満員の神宮球場にこだました。13日の初戦では、陽のヒットエンドランで一塁から激走して終盤に貴重な追加点。今度は、先制V弾をたたき込んだ。

 ベンチ前で菅野とハイタッチすると、わずかに頬を緩めた。「智之がナイスピッチングだったのでよかったです。(守備の重圧?)外野なので。内野ほどじゃないと思いますよ」。9月28日のDeNA戦(東京D)では9回にサヨナラ弾をたたき込んで白星をプレゼントするなど、今季エースが先発した試合では打率4割超、本塁打4本と援護射撃しまくってきたが、今度はノーヒットノーランをアシストする一発になった。

 レギュラーシーズン終盤の2度のサヨナラ打など、一気にスパートをかけてきた裏には、鉄腕の哲学がある。今季限りでの現役引退を表明した山口鉄とは遠征先でも頻繁に食事に出かけるなど、長野にとってはグラウンド外でも頼りになるアニキ的存在だった。9年連続60登板という超人ぶりはもちろん、最も影響を受けたのがマウンドでの立ち姿。「抑えた時も、打たれた時も、全く表情が変わらないし、感情を出さないことがすごい。本当に勉強になることばかりでした」。山口鉄から教えてもらった「抑えた試合の次の登板が一番緊張する」という思考は、毎日打席に立つ上での教訓になったという。

 2連勝でCS最終S進出を決めたが、下克上を目指すリベンジマッチは始まったばかり。「神宮でなかなか勝てないとか、小川君を打てないとか言われて、みんな悔しい思いをしていたと思うし、みんなで勝ち取った2連勝。17日から、また広島(最終S)で頑張ります」。活躍した試合の次が、さらに重要になる―。長野はそう自分に言い聞かせ、また次もやってくれるだろう。(尾形 圭亮)

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