【巨人】由伸監督「予想通りにいかないのが野球」“捨て身の攻撃”でCS最終Sに挑む

スポーツ報知
阿部(左)と坂本勇(右)と談笑する高橋監督

 プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)は17日にセ、パ両リーグのファイナル(最終)ステージ(S)が開幕する。第1Sを突破した3位・巨人の高橋由伸監督(43)が16日、リーグ3連覇の広島戦に向けた必勝プランを披露。マツダでの練習では、各自が強打からエンドラン、バントを練習。機動力を駆使した短期決戦仕様で挑む覚悟だ。

 苦手意識など、ない。由伸監督の表情には覚悟がにじみ出ていた。「シーズンとはまた関係のない戦いが始まる。こちらは失うものはない。崖っ縁からはい上がってきた身だし、思い切ってぶつかっていきたい」と、語気を強めた。今季広島とは7勝17敗1分け。特に敵地・マツダでは2勝9敗1分けで、8月12日の試合で勝利を収めるまで、1年にわたり悪夢の13連敗も味わった。ただ、短期決戦は戦い方が違う。自身が現役時の経験も含め、積極策で挑む考えのようだ。

 この日の全体練習で、まず指揮官は外野を動き回った。調整中の投手陣やコーチと綿密に打ち合わせし、自らの目で状態を確認。上原とは起用するタイミングなどを話し合った。ヤクルトとのCS第1Sのように早め早めの継投も視野。強力打線をいかに封じるかを考えつつ、その後は攻撃陣を遊撃付近から見守った。

 VS大瀬良―。今季、菅野と最多勝を分け合った右腕に挑む。5試合で1勝2敗、防御率2・25。「相手のエース。そう簡単にはいかない。ただシーズンとは違うからね」。そう強調した。テーマは「失敗を恐れるな」―。走れる者は走らせる。主軸であろうとエンドランも辞さない。目の前の1点を奪うためなら、主軸であろうとバントもある。スクイズのサインも出す。流れを変えるためなら何でも仕掛けるのが、由伸流の短期決戦仕様だ。

 13日のヤクルトとの初戦(神宮)。初回1死で田中俊が四球で歩くと、続くマギーの初球に二盗した。3年越しの8連敗を喫していた小川を揺さぶり、その後も気にさせた。後日、ナインの誰もが「あの盗塁で流れが変わった」と、口をそろえた。2連勝で突破した陰の立役者で、指揮官は「動く? うん。できることをやっていきたい。予想通りにいかないのが野球だと思っているので」と言う。

 勝つために何をすべきか。個々の意識の変化は形としても出ていた。その初戦では、6回1死でマギーがセーフティーバントの構えを見せた。このように、相手に「今までの巨人と違う」と思わせれば勝ち。シーズン中では「動き」が少なかった分、その効果は大きいはず。初回、先頭の坂本勇がセーフティーバントを仕掛ける可能性だって十分にある。一、二塁、もしくは二塁からのエンドランだって頭の中にはある。

 今は“別の巨人”と言っていいだろう。由伸監督は「選手には迷いなくやってもらえれば」と、たとえ失敗しても、自身が責任を背負う覚悟にある。3連覇した広島としては勝ち抜いて当然。「逆に相手はプレッシャーがある」。ある意味“捨て身の攻撃”が番狂わせを起こす。(水井 基博)

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