【巨人】マツダの呪い? 阿部負傷、岡本凡退…由伸監督、玉砕覚悟のタクトを

スポーツ報知
7回、真っ赤なジェット風船の中、選手交代を告げベンチに戻る高橋監督(カメラ・中島 傑)

◆2018 マツダ クライマックスシリーズ セ 広島6―1巨人(17日・マツダスタジアム)

 クライマックスシリーズ(CS)最終ステージ(S)がセ、パ両リーグともに開幕した。第1Sを勝ち上がった3位・巨人は、リーグ3連覇の広島にシーズン同様に苦戦して完敗。先発のメルセデスは初回に先制を許し、4回には鈴木に2ランを浴びるなど4回途中4失点。反撃は6回、マギーの適時打による1点に終わり、今季2勝9敗1分けの鬼門・マツダでまたしても苦杯をなめた。これで相手のアドバンテージを含め0勝2敗となったが、逆転を信じて戦い抜くしかない。

 わずか1センチ、ずれた。岡本のフルスイングはしかし、自身の上空に高々と舞い上がった。6回。1点を返し、なおも1死一、二塁。一発同点の好機で、4番は捕飛に倒れた。大瀬良の初球スライダーは真ん中付近に抜けてきたが、打ち損じた。「甘い球を仕留めきれなかった。明日は打てるように頑張ります」。こう、責任を背負い込んだ。

 チームとして、徹底はできている。「低めの変化球をいかに見逃すか」をテーマに、中盤以降の上ずる球を狙った。代打・辻の右前安打から、田中俊、マギーで1点。これで4番は第1Sから10打数無安打と苦しんでいるが、シーズン中に何度もチームを救った岡本が打てなければ、仕方のないこと。由伸監督も「アウトになったからといって、責めるところでもない。積極的にいった結果が紙一重だったということ。特にこちらの信頼は変わらない」と振り返り、「どうこう言ってもあれなんで。明日だね」と前を向いた。

 やはり広島は強い。これが率直な感想だ。初回にエンドランを決めた菊池の精度。4回無死一塁では4番の鈴木に初球を放り込まれた。相手の勝負強さは認めざるを得ない部分で、敵地のやりづらさもある。普通に戦っても分が悪いのは明らかで、ならば、玉砕覚悟で、もっと動くしかない。

 例えば3回。先頭の亀井が四球で歩き、小林は犠打を成功させた。ベンチの狙いは、続くメルセデスのバットではなく、2死二塁からの坂本勇。だが、「最低でも同点」を狙うよりも「一気の逆転」へと向かってほしかった。小林にエンドランか、バスターエンドランでも面白い。「シーズン中の巨人と違う」と思わせるためには、貪欲に攻めることが必要になる。

 “ツキ”もなかったのは確かだ。2回、阿部が自打球で退場した。試合後も痛めた左膝をかばうように、バスへと乗り込んだ。指揮官は「ちょっと様子を見ないと分からないね」と心配するしかなかった。慎之助は「何とかチームのために打ちたい」と臨み、バットを短く持って単打狙いを宣言していた。が、その矢先のアクシデント。短期決戦に強い男の負傷交代で、雲行きは怪しくなっていた。

 相手にはアドバンテージの1勝があり、これで0勝2敗。しかし、逆境からはい上がってきたのが今年の由伸巨人だ。キャプテンは「また明日頑張るだけ」と短い言葉に思いを込めた。まだまだ、こんなもんじゃない。打って、走って、走る―。経験豊富な選手が多いからこそ、また違った野球もできるはずだ。(水井 基博)

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