【巨人】高橋監督、広島に最後まで追いつけず敗退 3年間「いい戦いが出来なかった」

スポーツ報知
日本シリーズ進出を逃した高橋監督は、ファンの声援に応えながらグラウンドを後にした(カメラ・石田 順平)

◆2018 マツダ クライマックスシリーズ セ 最終S第3戦 広島5―1巨人(19日・マツダスタジアム)

 巨人・高橋監督が3シーズンの戦いを終えてユニホームを脱ぐ。最終ステージ(S)では、広島に1勝もできず、2年ぶりの日本シリーズ進出を決められた。打線は3試合連続で1得点に終わった。最終Sの計3得点は13年の広島と並ぶ最少タイ。3戦計12安打は、同年の広島(14本)を下回るワーストだった。2回の攻防に、両軍の攻撃力の差がくっきり出ていた。

 由伸監督の3年間が終わった。悔しさを抑え、最後は笑顔でスタンドに手を振った。広島ファンからも総立ちで拍手を送られた。涙があふれそうになった。必死にこらえた。目は真っ赤だ。そんな中で最後の会見に臨んだ。

 「(監督を)やってる間は、広島にはいい戦いができなかった。何とも言えないけど、自分なりには精いっぱいやったつもりだよ。(声援?)ありがたいね」

 リーグ3位から進出した最終Sは、3連敗で敗退した。序盤に3失点。5回は2死満塁で坂本勇が適時失策。打線は3試合とも1点しか取れず、指揮官は「それを振り返ってもしょうがないよ。勝てなかったという結果がすべてなので」と責めなかった。シーズン7勝17敗1分け。広島という壁は高かった。

 実際、その差は何だったのか。由伸監督はある時、こう本音を吐いた。「一番は脚力。広島の選手とは1歩目、2歩目が違う」。走者一塁から右前安打、もしくは中前安打でも「必ず一、三塁に進めてくる。ずっとこれを繰り返されたこともあっただろ。菊池のショートゴロが内野安打になったりな」。投手力や守備力もすごかったが、常にチャンスを広げてくる「脚力の差」が大きかったという。

 この試合もそうだった。2回無死二塁から進塁できなかった巨人に対し、広島はその裏、2本の二塁打で1点を奪った。さらに二塁走者の野間は、会沢の遊ゴロで三進。セオリー無視の脚力で2点目につなげた。

 岡本が4番を張り、田中俊や大城、けがで離脱した吉川尚も頭角を現した。いずれも次の塁を狙える「脚力」を持ち合わせている。「彼らには可能性がある」。来季こそ、投手以外の全員が走れる広島打線のような魅力あふれる打線をつくりたかった。それが本音だ。

 気持ちは変わらない、という。すでに球団側に辞意を伝えており、ユニホームを脱ぐ。9月下旬、都内の霊園で眠る父・重衛さんに報告した。開幕前やシーズン終了時など、節目で必ず墓参りをしてきたが、その日ばかりは笑顔で対面できなかった。「おれ、監督を辞めるから」―。これだけを伝え、手を合わせた。後日、山口寿一オーナーのもとへ。成績不振を理由に「責任」を取りに向かった。

 現役18年。監督3年。充血した目のまま、会見は終盤へ―。「思いついたことを言って、変に書かれても嫌なので」と一笑した。最後まで冷静な由伸監督がいた。和む空気をつくり、笑い飛ばす。兄貴と慕われた、本当の由伸を最後に見せてくれた。(水井 基博)

巨人

×