【巨人】「起きろ」宮国!原再生工場「ニュー椋丞になろう」

巨人・原辰徳監督(60)が28日、宮国椋丞投手(26)の“再生”に乗り出した。近年、伸び悩む右腕にスリークオーター気味に肘を下げるフォーム改造を提案。新体制始動2日目となったこの日、宮国の投球練習をじっくりと観察し「自然体で良かった」と高評価を与えた。自身の第2次政権時代の13年には開幕投手の大役を託したほど潜在能力の高さを買っている指揮官が、若武者の眠れる力を呼び起こす。
捕手の後ろから、球の軌道をじっくりと確認した。G球場のブルペン。原監督の視線の先には、やや肘を下げたフォームで投球練習をする宮国がいた。「自然体で良かった」。キレのいい球がミットに飛び込む度に、指揮官はうなずいた。
始動2日目に早くも飛び出した改革第1弾だ。新体制初日となった27日、原監督は宮国との“青空面談”の中で提案した。「ニュー椋丞になろう」。重心の高さが気になっていた宮国にやや肘を下げさせ、スリークオーター気味のフォームにすることで、より体の前で球を離せるようにする狙いだった。プレートの立ち位置についても助言を与える熱の入れようは、この秋の強化指定に指名しているかのようだった。
第2次原政権時の13年、宮国は開幕投手を務めた。当時20歳での大役は、88年の桑田以来25年ぶりの快挙だった。第3回WBCに参加した内海、杉内らの体調を考慮した事情もあるとはいえ、原監督はそれだけ右腕を買っていた。「(そんなことも)あったな」とニヤリと笑い、続けた。「でも野球界は2年たったら、もう(栄光は)粉々だよ」と、過去は何の力にもならないことを強調。今季、宮国はパワーカーブを習得するなど中継ぎで活躍。29試合に登板、防御率1・97と好成績を残したが、先発はなし。開幕投手翌年となる14年以降は、先発では12試合で2勝止まりと殻を破れないままでいる。
「やっぱり挑戦させないと。どちらかというとのんびり屋さんだから。自分の持っている物の大きさを忘れる。『潜在能力、起きろ』という感じで叩いてあげないといけないね」
指揮官の思いに、宮本投手総合コーチも同調した。「宮国をこのまま死なせたままではいけない。生き返らせないと」。甘いマスクで、印象以上にスマートに映る投球にも改革の余地ありとし「二枚目が邪魔している。もっと荒々しくやってもらいたい」とシュートで右打者の内角をえぐる持ち味をもっと前面に出し、攻めの投球を期待した。
宮国も覚悟は決めている。「原さんから言っていただいたことも併せて、最終的には僕の意志でやろうと決めました。初日なのでまだしっくりきてはいないけど、キャンプ中には体の使い方を覚えていい感覚にしたい」とモデルチェンジに意欲を見せた。近年の成績に、誰よりもどかしさを感じているのは、宮国本人にほかならない。悩める右腕の背中をそっと押し、若大将が勢いを与えた。(西村 茂展)
◆宮国 椋丞(みやぐに・りょうすけ)1992年4月17日、沖縄・糸満市生まれ。26歳。糸満高では甲子園出場なし。10年ドラフト2位で巨人入団。12年に1軍デビューして6勝。13年には20歳で開幕投手を務めた。186センチ、84キロ。右投右打。年俸2400万円。