【巨人】元木コーチ、出て来い“クセもの”「相手に『何をしてくるんだろ』と考えさせなきゃ」

スポーツ報知
若手内野手に対してノックをする元木内野守備兼打撃コーチ(カメラ・泉 貫太)

 巨人の1軍内野守備兼打撃コーチに就任した元木大介氏(46)が28日、チーム力を底上げするために“クセもの”の登場を説いた。現役時代に勝負強い打撃などで「クセもの」の異名を取った新コーチは、現在のチームに「細かいことが何もできていない。相手の嫌がることをしていかないと」と強調。31日に宮崎でスタートする秋季キャンプから、意識付けを図る。

 チームが強くなるためには何が足りないのか―。解説者として長年、巨人の戦況を見てきた元木コーチは、今のチームに欠けている部分をはっきり指摘した。

 「細かいことが何もできていない。できていないから負けているのであって、強いチームはできている。相手の嫌がることや、相手に『何をしてくるんだろう』と考えさせなきゃいけない」

 求められるのは、自身のような「クセもの」の存在だ。元木コーチは現役時代、松井秀喜ら強打者ぞろいのスター軍団の中で、相手に嫌がられる右打ちやカット技術などに加え、好機での勝負強さなどで存在感を発揮。当時の長嶋監督に重宝される役割を果たしてきた。

 近年の巨人は15年から4年連続でV逸。細かなプレーの意識や精度が低いことで勝ち星を落とす試合が多々あった。特に今季の送りバント成功率はリーグワーストの6割8分。最下位から2位に躍進したヤクルトが同トップの7割8分5厘、阪神が7割7分4厘、3連覇の広島も7割5分3厘と、その差は大きい。だからこそ「全員が40~50発打てるなら、教えることはない。でも、小粒な選手が多いから、そういうこと(細かなプレー)で生き残っていかないと」と強調した。

 そうした状況でも光明もあった。シーズン終盤から2番で起用された田中俊は、ヤクルトとのクライマックスシリーズ第1ステージ初戦で、初回に8球粘って四球で出塁後、次打者の初球で盗塁を成功させ、シーズンでは8連敗中だった小川を攻略する糸口を作った。

 打撃練習からバスターの練習を織り交ぜるなど「クセもの」の雰囲気が漂う俊太は「目立たなくても、じわじわと相手にプレッシャーをかけられるプレーをしていく。ランナーで出たらリードを大きくして、けん制を投げさせり」とうなずいた。

 その他にも、野手陣には技術の高い“クセもの候補”がそろっている。「全員が全員ホームラン狙いのスイングをしていたら先が見えている。ベンチ、代打からチャンスをつかめる選手はたくさんいるんだから」と元木コーチ。意識付けを徹底し、チームを確実に変える。(後藤 亮太)

 ◇元木コーチが「クセもの」と呼ばれるワケ 走者を塁に置いた場面での右打ちやバスター、相手の意表をつく走塁などの小技に加え、大事な局面では勝負強さを発揮。時には隠し球などのビッグプレーも見せる元木に対して、当時の長嶋監督(終身名誉監督)が命名した。

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