【巨人】菅野の10完投8完封「今の野球界で非常に難しい」…沢村賞選考経過

プロ野球で最高の先発完投型投手に贈られる「沢村賞」の選考委員会(堀内恒夫委員長)が29日、都内で開催され、巨人・菅野智之投手(29)が満場一致で選出された。昨オフから公言してきた選考基準7項目を全てクリアし、史上5人目の2年連続受賞。リリーフとの分業制が進む中での10完投8完封に「いい伝統を継承したい」と完投型として決意を新たにし、さらなる進化を目指す覚悟を示した。
史上5人目の2年連続受賞は、選考時間わずか10分での即決だった。菅野は選考基準7項目全てをクリア。対抗は4項目達成の大瀬良(広島)だったが「全会一致」(堀内委員長)、「文句なし」(平松委員)と異論は出なかった。
全7項目クリアは13年の金子(オリックス)以来。全項目クリアでの受賞は11年の田中(楽天)まで遡る。「例年、1つ2つ(クリア項目が)足りない中での選考だが、今年は7つをしっかりクリアした」(北別府委員)。分業制が確立され、今季から新たに「7回以上、自責点3以内」という沢村賞独自の日本版クオリティースタート(QS)を考慮する規定を加えたが、「QSを見るまでもなく決まった」(堀内委員長)と言う。
同委員長が高く評価したのが完投数。「今の野球界のシステムで10完投は非常に難しい。その中で10完投8完封。分業制になっている中で厳しいが、こうしてクリアしている投手がいる。他の投手も目標にしてほしい」と声を大にした。現状に即した“新基準”について、議論の余地さえ与えなかった。時代に抗(あらが)うエースの奮闘だった。
◆沢村賞選考委員
▼堀内恒夫(委員長=通算203勝、巨人のV9エース)
▼平松政次(カミソリシュートを武器に大洋で通算201勝)
▼村田兆治(マサカリ投法で通算215勝。ロッテの剛腕)
▼北別府学(制球力抜群の精密機械右腕。広島で213勝)
▼山田久志(阪急で284勝。伝説のサブマリン右腕)