【巨人】原監督、改革だ“自己責任紅白戦”采配もスタメンも「自分たちで決めろ」

巨人の宮崎秋季キャンプが31日、サンマリン宮崎を舞台に始まった。原辰徳監督(60)は、キャンプ2日目に行う異例の紅白戦で、選手の自主性を促すため、先発オーダーや戦略を選手に考えさせるサプライズ案を明かした。キャンプインに原監督をはじめ、宮本和知投手総合コーチ(54)、鈴木尚広外野守備走塁コーチ(40)ら新任のコーチ陣も早速の熱血指導。午前8時40分のアーリーワークから約9時間の猛練習で、来季への反攻が幕を開けた。
原監督から選手への、粋なメッセージだった。キャンプ2日目の1日、いきなり紅白戦を行う原巨人。それ自体も異例だが、それ以上に“前代未聞”のアイデアを披露した。「明日はね、メンバーの振り分けと守備位置だけ(こちらで)決めて、どういうオーダーを組むのかは選手たちが考えなさい、と」。1日の試合は、選手たちが打順や作戦を決める“自己責任紅白戦”とすることを明かした。
今はまだ「名前と技術とが一致するようにしっかりと頭の中に入れている」状態の原監督。先入観を持たずにチームの現状を正確に把握しようとしているからこそ、生まれた妙案だ。指揮するコーチも設けない。「特に制約はないです。サインを出すことはありません」。白組は今キャンプの野手キャプテンに任命された石川が、紅組は今季終盤に二塁のレギュラーを務めた田中俊が中心となり、犠打や進塁打、エンドラン、盗塁など、戦略も選手に考えさせる。
選手自ら考えたオーダーは下表の通りとみられる。二塁のレギュラー候補同士でもある吉川尚、田中俊はいずれも上位で切り込み役やつなぎ役を担い、長打力では若手屈指の和田、大城が両軍の4番を務める模様。そこには選手それぞれの特色を最大限生かそうという意図が透けて見えた。
やらされる野球、ではなく自ら考える力を植え付けるのが狙いだ。「一体感を持たせて、考えさせる。我々がすべて決めてしまうと(やらされることになる)。どちらかというと、そういう世代というかね」。現在、キャンプに参加しているメンバーの最年長は田原、高木の29歳。今後、合流見込みの小林を含めた平均年齢は23・9歳の若いチーム。どうしても首脳陣の顔色をうかがいながらプレーしがちな若手に自由を与え、一方で自覚と責任も持たせる。のびのび野球の礎を築いていく。開始予定も少年野球さながらに午前10時30分と早く、午後には出た課題を矯正する時間をたっぷり設けた。
今キャンプの参加野手が18人のため、近日中に合流予定の小林の出場は流動的な部分が残るが、全ての野手にチャンスが訪れる。「東京ドームで、あるいはファンの人たちの前で素晴らしいプレーが、彼はできるなと。そう感じるようなプレーを望みたい」。自ら判断したプレーで、俺の目を奪ってみろ―。指揮官は本塁後方の“原タワー”から、フラットな視点で光り輝く原石を見極める。(西村 茂展)
◆紅白戦予想スタメンは以下の通り。
【チーム俊太】
1(中)重信、2(二)田中俊、3(遊)若林、4(左)和田、5(三)北村、6(捕)岸田、7(右)笠井、8(一)加藤、9(指)小林、(投)大江
【チーム慎吾】
1(二)吉川尚、2(右)松原、3(中)立岡、4(指)大城、5(左)石川、6(捕)宇佐見、7(遊)山本、8(三)増田、9(一)吉川大、(投)田口