【巨人】原監督、大江と和田を高評価 実りの「自己責任紅白戦」

スポーツ報知
原監督(後方)が見つめる中で行われた紅白戦の4回1死、和田が左中間へソロ本塁打を放つ(捕手・宇佐見=カメラ・泉 貫太)

 金の卵を見つけた! 巨人は1日、秋季宮崎キャンプ2日目に紅白戦を行った。原辰徳監督(60)は、紅組先発として3回1安打無失点と好投した大江竜聖投手(19)に「来年はローテ争い? そうでしょうね」、左中間ソロを放った和田恋外野手(23)には「大きな可能性を持っている」とそろって高評価を与えた。選手にオーダーなどを考えさせた「自己責任紅白戦」は実のある初実戦となった。

 白球が勢いよく捕手のミットを叩くと、ネット裏の原監督も思わずうなずいた。指揮官の目を奪ったのは、高卒2年目左腕・大江だ。3回先頭、山本を140キロの直球で空振り三振に仕留めた。「勢いがあった。思っていた通り。投球も堂々としていた」と高く評価した。

 大江は、紅組の先発として、最速142キロの直球に落差のあるカーブを織り交ぜ、1軍経験者が多い“チーム慎吾”を封じた。3回2死から吉川大に唯一の安打を許したが、すぐに巧みなけん制で誘い出してアウトにするなど、総合力の高さをアピール。3回を1安打2奪三振無失点で、指揮官から「まだまだ課題はあるけども、真っすぐの強さはいいものがある。けん制なんかも上手だしね」と“合格点”を勝ち取った。

 打者では和田だ。第3次政権下のチーム1号を放った。紅組の4番に座り、両軍無得点の4回1死から池田の126キロのカットボールを左中間席に運んだ。今季、ファームで本塁打(18本)、打点(87打点)の2冠に輝いたスラッガーに指揮官はキャンプ前日、顔を合わせた際に「出世したな!」と声をかけていたというが「こちらも、力をつけたという、うわさ通り」と満足そうな笑みを浮かべた。

 金の卵はたくさんいる。それを素早く孵化(ふか)させるには―。模索した指揮官がひとつの答えを出した。この日の紅白戦はオーダー、戦略を選手自らに考えさせたが、その方針は試合後も一貫していた。野手に対して、コーチによる“反省会”を行わなかった。

反省会はしない 「普通ならば、いいところ、悪いところを(コーチが)指摘するんだけど、今日はまだいいと。『書きためといてくれ』とコーチに言った。今は何でもかんでも親切…というものが果たして大きく育つにはどうなんだろうと。待つって言ったって1週間ぐらいの話。それくらいはこちらも我慢しなきゃ」

 収穫と課題は選手個々に考えさせた。自主性を持って動かないと、強い組織は生まれない。そんなブレない信念がある。

 さっそく潜在能力を示した2人は、頼もしい目標を掲げた。大江は、3学年上の田口との投げ合いに「競争意識はありました」と言い、和田は1歳下の岡本の覚醒に「和真にいつも刺激をもらっています。来年は追いつけるようにしたい」と悔しさ交じりに気を吐いた。すでに1軍で実績を残した“ライバル”に挑戦状を叩きつける有望株が、原巨人には何人もいる。(西村 茂展)

 ◆大江 竜聖(おおえ・りゅうせい)1999年1月15日、神奈川・座間市生まれ。19歳。二松学舎大付高から16年ドラフト6位で巨人入団。1軍出場なし。2軍で通算30登板、7勝10敗、防御率3.65。173センチ、80キロ。左投左打。年俸500万円。

 ◆和田 恋(わだ・れん)1995年9月26日、高知・土佐町生まれ。23歳。高知高で高校通算55本塁打を放ち、13年ドラフト2位で巨人入団。5年目の今年1軍デビューしてプロ初安打を記録。2軍では18本塁打、87打点で2冠獲得。180センチ、88キロ。右投右打。年俸730万円。

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