【巨人】FA権行使の西武・炭谷に“速攻アタック”原監督直接出馬も

スポーツ報知
FA権を行使する意思を固めた炭谷

 西武の炭谷銀仁朗捕手(31)が国内フリーエージェント(FA)権を行使する意思を固めたことが5日、分かった。この日、FA有資格者の権利行使手続き期間がスタート。炭谷は近日中にも正式に球団に申し入れる。2013、17年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも出場した経験豊かなベテラン捕手には複数球団が興味を示しているが、巨人が交渉解禁となる15日にも“速攻アタック”をかける可能性が浮上した。

 炭谷が野球人生で最大の決断を下すことになった。シーズンを通して、より出場できる環境を求め、他球団との交渉の席に着く意思を固めた。近日中にも正式に球団に申し入れ、申請手続きを行う予定だ。

 炭谷は昨オフの契約更改で2年の複数年契約を断り、単年でサイン。今季は森、岡田の台頭もあって出場47試合、打率は2割4分8厘にとどまった。それでも得点圏打率3割4分5厘の勝負強さに加え、リーグ屈指の守備力は健在。昨オフには高卒入団選手としては初となる日本プロ野球選手会9代目会長に選出されるなど、周囲からの人望も厚い。

 球団はすでに本格的な残留交渉を行っている。この日も、次期本部長となる飯田常務と渡辺SD兼編成部長と都内で会談。渡辺SD兼編成部長が「全力で引き留めたい」、飯田常務が「必要があれば何度も話をする」と話すなど、宣言残留も認めて慰留に全力を注いでいる。炭谷も「西武で1年目から使ってもらった。選手みんな好きだし、愛着がある」と話しているが、退団が濃厚だ。

 炭谷が宣言すれば、他球団の動きは一気に加速する。複数球団が興味を示す中、最も関心を示しているのが巨人だ。現在、正捕手候補の小林は打撃面に課題があり、大城と宇佐見はまだ、守備力に不安が残る。銀仁朗は侍ジャパンのメンバーとして2013、17年のWBCに出場。強豪国と戦ってきた世界の経験値は日本一奪回へ大きく貢献してくれるはず。勝負強い打撃にも評価は高く、以前から球団は注視していた。

 他球団との交渉解禁となる15日にも、速攻でアタックをかける可能性が浮上。条件面は今後検討されていくことになるが、他球団に負けない最大限の誠意を見せる模様だ。争奪戦の激化も予想されるが、最終手段には原監督の“直接出馬”を用意。過去には日本ハム・小笠原、横浜・村田、ソフトバンク・杉内、広島・大竹、西武・片岡のハートを射止めており、心強い限りだ。

 巨人は他に、広島・丸の動向も追っている。マリナーズを退団した岩隈や、オリックスを自由契約になった中島の動向も注視。若手を育成していく上で、経験値の高い選手の獲得もチーム力アップには欠かせない部分。まずは炭谷獲得へ、総力を挙げる。

 ◆炭谷 銀仁朗(すみたに・ぎんじろう)1987年7月19日、京都府生まれ。31歳。平安高(現龍谷大平安高)から05年高校生ドラフト1巡目で西武入団。06年は51年ぶりの高卒新人開幕マスク。堅守強肩を武器に09年から正捕手。18年から日本プロ野球選手会会長。181センチ、95キロ。右投右打。年俸1億1000万円。

 ■巨人過去のFA交渉トピックス

 ◆ピンクのバラ「17」本

 1993年・槙原寛己(巨人)チーム残留を求めて、秋季キャンプ中の宮崎から長嶋監督が緊急帰京。背番号と同じ17本のピンクのバラを携えて都内の自宅を訪問し、「君の力を必要としている」と説得。

 ◆長嶋監督アポなし訪問

 99年・工藤公康(ダイエー)長嶋監督が直接出馬し、都内のホテルのスイートルームで交渉。「どうしても左投手がいないから来てほしい」とラブコールを送り、福岡市内の自宅もアポなしで訪問。3度目の交渉で巨人入り決定。

 ◆「33」を譲る

 99年・江藤智(広島)当時、背番号33だった長嶋監督が「僕が3番をつける」と、江藤に広島時代の33番を譲ることを提案。

 ◆原監督サプライズ直電

 11年・杉内俊哉(ソフトバンク)原監督が「悔いのない決断をしてほしい」とサプライズの電話。チームのFA補強史上最高額となる4年総額20億円を提示し、エースナンバー「18」を中心に空いている数字から背番号を選んでもらうことに。

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