【巨人】阿部、笑顔で捕手始動!原監督「鬼軍曹」期待

スポーツ報知
捕手に復帰する阿部は久しぶりのミットの感触に笑顔を見せる(カメラ・竜田 卓)

 巨人・原辰徳監督(60)が6日、来季の捕手復帰を志願した阿部慎之助内野手(39)に「鬼軍曹」指令を出した。宮崎キャンプ第2クール初日となったこの日、阿部から直訴の電話を受けたことを明かした指揮官は、純粋な戦力のみならず、その豊富な経験で若き投手陣の成長を促す役割も託す。「『キャッチャー・慎之助』が存在することが大きなこと」と期待を隠さない。時には厳しくチームを引き締め底上げを図る。

 慎重に言葉を選んでいた原監督の口調が、次第に熱を帯びた。来季、阿部の捕手復帰が決定した。「捕手・阿部」は自身の第2次政権下12年から14年までのV3の象徴。扇の要として放つ存在感は、誰よりも指揮官自身が分かっている。

 「レギュラーとか、以前のように何試合も、ということは抜きにしてね。(チームの)パーツに『キャッチャー・慎之助』が存在することが大きなこと」

 5日の練習が終わった頃、携帯電話が鳴った。かけてきたのは阿部。その中で来季は捕手としてプレーしたい意志を聞いた。最後の勝負―。原監督は、そんな背番号10の強い覚悟を感じた。

 「チームのことももちろんだけど、本人の野球という部分。それほど長く現役をやれるとは本人ももう思っていないだろうし。向こうからきちんと門を叩いてくれたけれども、(意志が)合致していたところはあった」

 期待は多岐にわたる。今季のように一塁、代打の切り札もある。戦力としては当然ながら、投手陣のまとめ役が重要な任務だ。高田、大江らを筆頭に若く伸び盛りの投手が多い。何度もチームを優勝へ導いた説得力ある言動で、若き投手陣に豊富な経験を還元する。

 「そこが期待するところだと言うと慎之助に怒られるかな。でもやっぱり、そこはすごく大きいと思う」

 これまでもそうだった。12年、日本ハムとの日本シリーズでは、二塁けん制のサインを見落とした沢村の頭をマウンド上で叩いたこともある。世代交代の過渡期にあるチームにおいて、そのリーダーシップは唯一無二。時には力ずくでもチームを動かす役割を期待する。

 「(ナインの)お兄ちゃん的な役割と同時に、どこかに鬼軍曹的なところがあっても僕はいいと思う。それが彼の一番人間らしい、いい部分だからね」

 この日、秋季宮崎キャンプ紅白戦では小林が2安打、岸田、大城、宇佐見は1安打と、それぞれがアピールした。レギュラー捕手争いについて、原監督が「フラットな目で見る」と横一線を強調する以上、阿部だって例外ではない。持てる戦力の最大値を模索して、強いチームを作り上げていく。(西村 茂展)

 【阿部の鬼伝説】

 ▼バリカン星人 11年オフ、翌年からグアム自主トレ同行が決まった大田に「カッコつけるのは1軍で活躍してからでいい。その頭をどうにかしろ」と一喝。大田は自ら頭を丸めた。

 ▼ポカリ 12年の日本シリーズ・日本ハム戦(東京D)で沢村が二塁けん制のサインを見落とすと、タイムをかけマウンドへ。右手で頭を叩いて公開説教。

 ▼キャンプインから… 13年2月の宮崎キャンプ初日。ブルペンで軽めの投球だけで終わった辻内に対し「立ち投げ30球くらいで終わっちゃった子がいるのが残念だった」。

 ▼「考えろ」 14年1月のグアム自主トレ。小山、宮国らに「気持ちよく投げるのは誰でもできる。あれじゃクイックできない。君らは走者がいる場面でいくことが多いんじゃないの? 8割くらいセットでしょ。もっと考えて」と常に走者を想定する意識を求める。

 ▼小林に擬音指導 17年1月のグアム自主トレ。小林に初日から熱血指導。打撃では「『ブワァ~ン』じゃなくて『バァンッッ!』だ」、守備の送球では「手首を『ピュンッ!』と返すイメージ。お前は思いきり投げすぎてる気がする」。

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