【巨人】鈴木外野守備走塁コーチ「盗塁王」の素質引き出すため「走塁の考え」プレゼンさせる

新生・原巨人の新コーチに方針などを聞くスポーツ報知の独占インタビュー。第2回は鈴木尚広外野守備走塁コーチ(40)。盗塁数アップへ、選手と個人面談を行い「走塁についての考え」を発表してもらう考えを明かした。吉川尚、重信、松原、立岡、田中俊、吉川大ら俊足の若手の成長に期待。「レギュラーなら盗塁王を狙ってほしい」と走塁改革、“スーパーカー軍団”結成の意欲を示した。(取材・構成=片岡 優帆)
―秋季キャンプで2年ぶりに巨人のユニホーム姿。
「久々に昔、感じたような緊張感を感じる。やっぱり独特のものがあるなと」
―16年限りで現役引退。スポーツコメンテーターとして活動したこの2年間、巨人をどう見ていたか。
「走塁に関しては、走れる選手は多くいるのに、なかなかアクションを起こせないなと。広島と比べても盗塁の企図数が少ない(今年広島の企図数は144で成功95はリーグ1位)。スタートを多く切れれば、それだけ相手にプレッシャーをかけられるわけだから」
―スタートを切れない要因は。
「まず、盗塁に興味を持っている選手があまりいない。投手の観察、スタート、スピード、スライディングも含めて盗塁を細分化できていない選手が多い」
―それを変えるために必要な改革、指導は。
「まず彼らの考え方を変えないと。失敗することを恐れないこと。こちらも失敗を責めるのでなく根気強く。そうやって互いの理解を深めていく。まずはそこからだと思う」
―鈴木コーチは現役最終年まで12年連続2ケタ盗塁など通算228盗塁。代走でも活躍した「神の足」だが、全員に同じ指導をするつもりはないという。
「同じ盗塁でも選手によって、できる要素、できない要素が違う。それを一つ一つクリアすることが成功確率を上げることになる。細かく話し合って不安材料を消していきたい。そのために、一人一人とマンツーマンで面談してプレゼンしてもらおうと思っている」
―コーチから言うのではなく選手に発言を求める。
「リポートだと伝わりにくいから。ホワイトボードを用意して、書きながら話してもらう。言葉を使うことによって、気づいていなかったものを掘り起こす。感覚で、ただ漠然と走るのでなく、考え方が身についてほしいので」
―斬新な取り組みだ。
「プレゼンをして自分がどう思っているのか知ることが大事。別にこちらは答えを求めているわけじゃない。彼らの意見を聞いて走れない原因を一緒に考えてアドバイスしてあげたい」
―鈴木コーチも、若い頃はなかなかスタートを切れなかった。02年の西武との日本シリーズで決めた二盗が、大きな自信になった。
「僕は自分で言うのもあれだけど、逃げなかった。当然、逃げたいし怖い。失敗を繰り返すと負のイメージはあるけど、でもそれを超えたところに得られる確かなものがあるから」
―盗塁という部分で期待する選手として、まずは吉川尚の名前を挙げた。
「彼の魅力ってまずどこなのか。足、守備、打撃と求められているのは高いけど、最大の魅力は足でしょ。そこをストロングポイントにしていかないと」