【巨人】常に1―0を想定し紅白戦 原監督にんまり「みんなよく考えてやっていたよ」

スポーツ報知
紅白戦終了後ベンチの中でナインを見つめる原監督(中央=カメラ・中島 傑)

◆巨人紅白戦 白組5―1紅組=7回制・特別ルール=(11日・サンマリン宮崎)

 巨人は11日、今キャンプ3度目の紅白戦を行い、「考える野球~第2弾」を実施した。全7イニングにおいて、攻撃、守備側とも常に「1対0」で勝っている状況を想定。展開や流れ、相手打者の傾向などを自分たちで考え、サインを出し合った。今季、1点差ゲームは12勝24敗で12球団ワーストの勝負弱さを露呈。指揮官は「1対0は攻撃も守備側も一番難しいからね」と試し、試合後には首脳陣を交えた反省会も行った。

 試合が終盤に差し掛かると、原監督が報道陣の前にわざわざ歩み寄ってきた。「今日の試合はね、攻撃側も守る側も1対0で勝っているシチュエーションを想定させているんだ。そういう目線で試合を見てごらん」。全7イニングの試合で5回が終了。主将・石川率いる白組が4対1でリードしていたが、勝敗よりも「すでにいろんな教材が出ているよ」と明かした。

 【ケース〈1〉】(4回2死一、二塁)

 紅組の攻撃で打席には「5番・小林」。1点リード想定で守る白組は、外野手を前進させた。セオリーは逆転となる一塁走者をかえさないよう、外野はバックし、一、三塁手はライン際を詰めて、長打を警戒する。だが、中堅の重信を中心に前でのチャージを選択した。結果的には中前適時打で“同点”。原監督は「小林の時はあえて前に来たね。あれはバッターがなめられているのかな」と一笑した。
 考えた上で失敗しても、それが糧になる。なめられた小林が、相手を上回っただけで、そこに収穫もある。そんな中、指揮官は一度だけ動いた。

 【ケース〈2〉】(6回無死二、三塁)

 この回からマスクをかぶった小林は内野に前進指令も、バックネット付近で見守った指揮官が呼び寄せた。直後、内野は定位置に戻った。「ジャイアンツという中で『1点くらいは』というふうなときも必要だと。そこに意志力が入った状態で『こうします』という状態にならないとね」と説明した。打者・重信は最低限の二ゴロを放ち“追加点”を奪った。一方の守備も「1点は仕方のない場面。次の1点を与えない」という課題の中で、その1点で食い止めた。

 シーズンに入ればベンチが守備隊形を指示する。流れや、データから来る相手打者との相性も含めた緻密な作戦がチームを守ってくれる。ここで大事なことは、ナインが一体となって考え、たとえセオリーを度外視しても、方向性を持つこと。そこから防げる失点も出てくる。今季、1点差試合は12勝24敗で12球団ワースト。接戦を勝ちきることがペナントを左右すると言っても過言ではない。

 1日に行われた紅白戦初戦では、先発オーダーや戦略を選手に考えさせた。自主性を促す狙いで、各選手が自ら決めた役割を必死に全うした。今回は「考える野球」の第2弾。試合後には次に生かすための反省会も行った。原監督は「常に1点勝っているという野球の中で、みんなよく考えてやっていたよ」と目を細めた。やらされる野球では強いチームには育たない。“考える改革”は徐々に浸透している。(水井 基博)

巨人

×