【巨人】原監督、サプライズ伝言「炭谷選手が絶対必要」初交渉に手応え

スポーツ報知
FA宣言中の炭谷は巨人との初交渉を終え、会見に臨んだ(カメラ・泉 貫太)

 巨人は16日、FA権を行使した西武・炭谷銀仁朗捕手(31)と都内のホテルで初交渉を行った。交渉の席では、原監督からのサプライズ伝言も披露。「優勝するためには扇の要である炭谷選手がぜひとも欲しい」などと伝えられ、炭谷のハートをつかんだもようだ。条件面では3年総額5億円超を提示。交渉に臨んだ大塚副代表編成担当も「手応え? あったんじゃないかな」と自信を見せていた。

 誠意は伝わった。約1時間の初交渉を終えた炭谷は、どこかスッキリしていた。「(球団側と)今日初めてお会いして、球団からのお話もそうですし、原さんの熱い思いが伝わりました」。結論こそ先延ばしになったが、「そんなに長引かせたくないですけど、じっくり考えて自分の中でいい決断ができればなと思います」。

 原監督の恒例となった“サプライズ”が、心を揺り動かした。私用のため、この日で宮崎キャンプを打ち上げた指揮官は、宮崎空港から電話をかけた。大塚副代表編成担当に「優勝するために力を貸してほしい。扇の要である炭谷選手が絶対に必要だと伝えてほしい」と伝言。炭谷は「熱い気持ちを伝えてもらいました。大変うれしく思います」と感激した様子だった。

 13年オフにはFA宣言した大竹(広島)、片岡(西武)に直接電話をかけてハートを射止めた。11年には杉内(ソフトバンク)に「悔いのない決断をしてほしい」とラブコール。一気に獲得へとこぎ着けた実績がある。大塚副代表は「手応え? あったんじゃないかなと、自分の中では思っています。感じ的に穏やかな表情だったので、いい感じなのかな、と」と強調した。

 チームには今、正捕手候補の小林や、成長途上の大城や宇佐見、岸田もいる。阿部も4年ぶりの捕手復帰を決断した中での「炭谷獲り」だが、同副代表は「競争していけば優勝が近づくと思います。刺激という意味では炭谷選手は最適だと思う」と説明した。

 きっかけは今年2月。宮崎で行われたソフトバンクとのOB戦(サンマリン)でのこと。V9時代の正捕手・森祇晶氏に助言されたことを明かし「吉田選手、大橋選手とかどんどん補強して競争が芽生えた」という。正捕手がいても補強で競争を激化させ、勝ち続けるチームをつくっていった当時を理想とし、奪い合いからのさらなるレベルアップを狙う。

 交渉の席では条件面についても話し合われ、3年契約5億円超を提示したもよう。今後、球団側は炭谷の返事を待つことになるが、最大限の誠意を示しており、獲得へ前進したことは間違いなさそうだ。(水井 基博)

 ◆銀仁朗に聞く

 ―どんな話を。

 「来てほしい、と。優勝するために全力でやってほしいという話をしてもらった」

 ―決断を下す上で重視するところは。

 「何が決め手になるかは正直わからないが、いろんな面でゆっくり考えたいと思う」

 ―FA宣言して他球団へ移籍したらまた一からの挑戦になる。

 「行使した時点でどこに行こうが、ましてやジャイアンツはリーグも違う。全てにおいて大変だと思うけど、それも含めてプロ野球選手として勝負の世界にいる人間として当然。西武に残留しても変わりのないこと。心の『やったるぞ』という気持ちは変わらずに持っている」

 ◆炭谷 銀仁朗(すみたに・ぎんじろう)1987年7月19日、京都府生まれ。31歳。平安高(現龍谷大平安高)から2005年高校生ドラフト1巡目で西武入団。06年は51年ぶりの高卒新人開幕マスク。堅守強肩を武器に09年から正捕手。18年から日本プロ野球選手会会長。181センチ、95キロ。右投右打。年俸1億1000万円。

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