炭谷銀仁朗、巨人移籍決定的…原監督がハート射止めた

スポーツ報知
西武のファン感謝イベントに参加した炭谷

 海外FA権を行使していた西武・炭谷銀仁朗捕手(31)の巨人移籍が23日、決定的となった。この日、メットライフドームで行われたファン感謝イベント後に西武・渡辺久信シニアディレクター(SD)兼編成部長(53)と会談し「FA権を使って他球団に移籍したい」と意思を伝えた。巨人の他に獲得に乗り出している球団はなく、事実上「巨人・炭谷」が誕生。渡辺SDとの会談の席では「野球人としてもう一度、勝負したい」と環境を変えての挑戦を訴えたもようで、新天地となる巨人で正捕手獲りに挑む。

 野球人生で最大の決断を下した。FA宣言をしていた炭谷が西武側に移籍する旨を伝えた。この日、ファン感謝イベント後に取材対応した渡辺SDは「先ほど炭谷と話しまして、FA権を使って他球団に移籍したいという話をもらいました」と明かした。他球団で獲得に乗り出しているのは巨人以外になく「巨人・炭谷」が事実上、誕生する形となった。

 悩みに悩んだ末に出した結論は、アスリートとしての純粋な欲求だった。今季の打率は2割4分8厘ながら得点圏打率は3割4分5厘。勝負強さを見せたが、森、岡田の台頭もあって47試合の出場にとどまった。「野球人としてもう一度、勝負したいという話でした」と渡辺SD。宣言残留も認めた上で慰留に全力を注いでいたが「非常に残念。うちとしてはなんとか残留してほしかった。本人の決断ですので尊重するしかない」と苦渋の表情で明かした。

 移籍先となるのは、巨人が確実だ。FA交渉解禁翌日となった16日、都内のホテルで約1時間の初交渉を行った。3年総額5億円超の提示を行った上に、原監督からのサプライズ・メッセージも用意。交渉に臨んだ大塚副代表編成担当に「優勝するために力を貸してほしい。扇の要である炭谷選手が絶対に必要だと伝えてほしい」と伝言を託して心を揺さぶった。これには炭谷も「熱い気持ちを伝えてもらいました。大変うれしく思います」と感激した様子で話していた。指揮官の熱意が“恋人”のハートを、またも射止めた形で、近日中に巨人側にも“吉報”が届くと見られる。

 メジャーで今季20発を放った大砲・ビヤヌエバ、オリックスを自由契約となった中島の獲得に続き、今オフの補強第3弾。扇の要には今季正捕手の小林や成長著しい大城、宇佐見や岸田らがひしめく。来季は阿部も4年ぶりの捕手復帰を決断するなど層を厚くしているが、その中でも13、17年のWBCで日の丸を背負った豊富な経験と勝負強さは、原監督が「フラット」と横一線を強調する正捕手競争においても発揮されるだろう。

 そして、その「刺激」による全体的な底上げも炭谷獲りのひとつの側面だ。同じく獲得を目指す広島・丸とも、近日中に初交渉を行う予定。5年ぶりV奪回へ、補強の手を休めない。

 ◆炭谷 銀仁朗(すみたに・ぎんじろう)1987年7月19日、京都府生まれ。31歳。平安高(現龍谷大平安高)から2005年高校生ドラフト1巡目で西武入団。06年は51年ぶりの高卒新人開幕マスク。堅守強肩を武器に09年から正捕手。18年から日本プロ野球選手会会長。181センチ、95キロ。右投右打。年俸1億1000万円。

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