【巨人】長野、34歳の誓い“打撃の神様”目指す「ボールが止まって見えるようにしたい」

スポーツ報知
川辺小学校の子供たちと給食をともにした長野は、牛乳を一気に飲み干してポーズを取った(カメラ・石田 順平)

 巨人の長野久義外野手(34)が5日、「神の目」習得を目標に掲げた。この日、7月の西日本豪雨災害で被害を受けた岡山・倉敷市真備町地区の小学校を訪問。児童たちの前で「来年はボールが止まって見えるように頑張ります」と打撃の神様といわれた川上哲治氏の境地を目指すことを約束した。

 長野がぶち上げた34歳の誓いは“打撃の神様”になることだった。7月の豪雨災害で被災した岡山・倉敷市真備町地区にある川辺小学校と薗小学校で開かれた交流会。児童たちに続いて、先生からも質問が飛んだ。「ボールが止まって見えるということは本当にあるんですか?」―。長野は興味深そうにうなずくと、「僕は止まって見えることはないんですが、そういう人もいるようです。来年は、ボールが止まって見えるように頑張ります」と返した。

 ボールが止まって見えるといえば、川上哲治氏の領域だ。巨人の黎明(れいめい)期を支えた大打者で、首位打者を5度獲得した「打撃の神様」。川上氏は生前、ボールが止まって見えることについて「間の取り方の問題。トップでボールを呼び込めれば、ボールは止められます」と明かしていた。今季、史上最年少で「3割・30本・100打点(3割9厘・33本塁打・100打点)」を達成した岡本も好調時にはボールの縫い目が見えるという。

 長野もこの「間」の取り方を習得すれば、「ボールが止まる」領域にたどり着けるかもしれない。もともと動体視力は抜群で、動体視力を計測する「ビジョンテスト」では40点満点中、39点をたたき出したことがある。プロ野球選手で35点を超えれば一流とされるが、長野の目は卓球選手並みの数値。「80勝から90勝が優勝のラインだと思うので、それくらい勝てるようにしたい」と意気込むが、そのためには長野のレベルアップが不可欠だ。

 6日が34歳の誕生日。訪問した小学校では、給食の時間に「ハッピーバースデー」の大合唱がプレゼントされた。「まだまだ大変なことは多いと思いますが、少しでも力になれれば。災害のことを忘れないでほしいし(被災地の現状を)みんなが知ることで分かり合えることもあると思うので。今日はパワーをもらったので、来年頑張ります」。次のオフは、日本一を手土産に再訪するつもりだ。(尾形 圭亮)

 ◆打撃の神様・川上哲治 1938年に投手として巨人入りするも、非凡な打撃センスを買われて打者に専念。2年目の39年に19歳で首位打者に輝くなど、首位打者を5度獲得。51年は打率3割7分7厘をたたき出し、三振わずか6。「打撃の神様」「赤バットの川上」と言われ、戦後のプロ野球界をけん引。通算2351安打は当時のプロ野球記録で、背番号16は巨人の永久欠番。巨人V9では監督としてチームを引っ張った。2013年、93歳で死去。

 ◆平成30年7月豪雨 6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に北海道や中部地方など全国的に広い範囲で記録された台風7号および梅雨前線などの影響による集中豪雨。死者224人、行方不明者8人、全壊家屋6758棟などの被害は広島県と岡山県に集中した。死者・行方不明者299人を出した1982年の長崎大水害に次ぐ被害で、平成で最悪となった。

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