【巨人】丸、岡本につなぐ「潤滑油」になる決意「僕がしっかりつなげられれば」…新春インタビュー

スポーツ報知
丸佳浩

 広島から国内フリーエージェント(FA)権を行使し巨人に移籍した丸佳浩外野手(29)が、スポーツ報知の新春インタビューに応じた。G党だった幼少期の思い出から広島時代に対戦してきた巨人の印象、最後は岡本和真内野手(22)へとつなぐ「潤滑油」になる決意まで語り尽くした。

 野球人として下した大きな決断を経て、いよいよ2019年が始まる。丸は、3連覇中の広島からFA権を行使して、広島、ロッテを含む3球団の中から巨人を選んだ。

 「(3球団とも)非常に熱意を持ってお話をさせていただきましたし、その中で『じゃあ、自分がどうしたいのか』と、最後の方はずっと自問自答してるような毎日でした。家族からは最初の段階から『僕の判断に付いて行く』と言ってもらえていた。いろいろ考えた上で、自分の中でジャイアンツに行きたい思いが最終的に強くなりました」

 幼少期の原風景が決め手の一つだ。入団会見で「子供の頃からプロ野球と言えば東京ドームだった」と明かすなど、丸少年はG党だった。記憶の中に色濃く残っている選手がいる。

 「僕が小学校6年生の時(01年)に阿部(慎之助)さんが入団された。僕はソフトボールをやっていて、キャプテンで背番号10をつけて、キャッチャーをやっていた。さらに右投げ左打ち。阿部さんのリストバンドを東京ドームで買って、それを着けて試合に出ていた事もありました(笑い)」

 憧れだった阿部は野手最年長39歳。まだまだ欠かせない存在だ。一緒にプレーする姿は想像出来ただろうか。

 「想像もできなかったです。こういうご縁をもらって、一緒に野球ができるとは思っていなかったです。いろいろな事を聞いていきたいなと思っています」

 プロ入りから巨人とは激闘を繰り広げてきた。対戦相手としてどう見ていたのか。

 「いやらしいというか、勝負強いイメージをすごい持っています。勝負所でしっかり勝ってくるチーム」

 鮮明に覚えている戦いがある。14年9月2日からの巨人との首位攻防3連戦(長野、前橋、宇都宮)。悲願のリーグVに向けて、8月末に首位の巨人に1ゲーム差に迫りながら、この直接対決で3連敗し、自力優勝が消滅。丸は3戦ともスタメン出場し、計12打数3安打。打点ゼロだった。

 「そこに勝っていけば一気にゲーム差が縮まって、初めて1軍に上がって、優勝できるかもっていう気持ちで臨んだんですが、勢いを完全に落とされた。当時、僕も菊池もそうですけど『(巨人は)勝負強いな』って。選手が大事な試合っていうのを分かっているんだなという印象を受けました」

 16年から広島は3連覇。丸は2年連続MVPに輝くなど、チームの柱として輝きを放ったが、あの時の悔しさが財産になったという。

 「そういった経験が、最近のチームとしての成績になっているのかなと僕は思ってますけどね」

 巨人の5年ぶりのリーグ優勝に向けて、主将の坂本勇、第89代4番の岡本とともに形成する打線は破壊力抜群だ。敵チームとして、若き大砲はどう映っていたのか。

 「本当にすごいと思いますよ。僕の22歳の時とは比べものにならないです。いい打者って、センターを守っていて(打球が)飛んできそうな気配がすごいするんですけど、岡本くんは本当にすごい気配がしていたので。(巨人では)僕がしっかり潤滑油というか、つなげられればな、と思います」

 広島でも若き4番・鈴木の前に座る3番を務め、リーグ2位の39本塁打のパンチ力だけでなく、つなぐ意識も高かった。巨人でもそのスタイルに変化はない。

 「つなぐ重要性とか、ヒットを打てなくても点を取る野球っていうのがこの3年間実践できていた。当然、チャンスで決めたいと思うのが普通だと思うけど、そういった気持ちは絶対に持たないといけない」

 MVP選手がその年のオフにFAで国内球団に移籍するのは、99年の工藤公康、06年の小笠原道大以来。両者が加入した巨人は、ともに翌年優勝した。大きな期待とプレッシャーを受けながらの戦いとなる。

 「原監督にはお話の中で『力みすぎないように』と言われたんですけど、まさしくその通りで。ちょっと気持ちを熱くいく中で、一歩引いた自分を作るというか、しっかりと冷静に展開を読めるようなところを大事にしていきたいです」

(取材・構成=西村 茂展、玉寄 穂波)

 ◆14年9月2~4日の巨人・広島3連戦

 1戦目(長野)は坂本勇が1点を追う初回に逆転3ランを放ち、右膝負傷からスタメン復帰した長野が猛打賞、亀井が4回にソロを放つなど12安打で9―4。2戦目(前橋)は4―2で逆転勝ち。1点を追う5回1死二、三塁で代打・井端がラッキーな2点打、長野が11号2ランを放った。3戦目(宇都宮)は沢村の7回無失点の好投で1―0。巨人は3連勝し優勝マジック「22」が初点灯した。

 ◆丸 佳浩(まる・よしひろ)1989年4月11日、千葉・勝浦市生まれ。29歳。千葉経大付高では高校通算49本塁打を放ち2年夏、3年春に甲子園出場。07年高校生ドラフト3巡目で広島入団。2年連続リーグMVPに輝き、13年から6年連続ゴールデン・グラブ賞、3年連続ベストナインを受賞。177センチ、90キロ。右投左打。年俸4億5000万円。

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