【ALL巨人】高田2軍監督、5連覇より1軍優勝 サポート&スター育てる

スポーツ報知
1軍優勝のため若手育成を課題に挙げた巨人・高田2軍監督

 毎週火曜日にスポーツ報知で巨人を1ページ特集する「まるごと巨人」が「ALL巨人」と名前を変えて2年ぶりに復活! 第1回は今季から新たに就任した高田誠2軍監督(54)の単独インタビューだ。昨季まで2軍バッテリーコーチを務めてイースタン・リーグ4連覇の力となったが、ファームの優勝にはこだわらないと明言。1軍優勝のため、若手育成を課題に挙げた。(聞き手・玉寄 穂波)

 昨季終了後、自身初の2軍監督に就任した。10月の宮崎フェニックス・リーグでは、昨季限りで退団した川相2軍監督に代わり監督代行として指揮を執った。

 「まずは選手の持ち味、長所を伸ばすことから始めた。最初に言ったのは前向きなミスはいいよ、と。ミスするのはファームでしかできない。1軍に行ってミスしたら『2軍に行け』となる。まずは持っている力を最大限に出してほしかった。だから試合ではサインもあまり出さなかった」

 若い選手には、実戦の結果よりも、一番大切なことは試合に臨むまでの過程にあると何度も説いた。

 「準備をおろそかにしてやっていたら、故障にもつながる。準備が大事だということを伝えました」

 2軍はイースタン・リーグ4連覇中だが、今年は5連覇にこだわらない。

 「勝つことは選手たちを成長させる大切な要素。でも、2軍はそこが最終目的ではない。1軍をバックアップする体制と数年後の1軍の軸になる選手をどうやってつくっていくか。勝つことを第一目的にしてやろうとは思っていない」

 昨季の2軍は高田が最多勝、最優秀防御率、最高勝率。石川は首位打者、最高出塁率。和田は本塁打王、打点王。5人の育成選手が支配下契約昇格を勝ち取った。

 「昨年、ファームはとてもいい成績を残した。でも1軍で活躍したのは誰?って。結局、チーム全体ですごくシャッフル(戦力外、引退、補強などで戦力の入れ替え)をした。まずは1軍が優勝しないと。それを考えると、イースタン5連覇目指します、とは言えない。1軍が勝つことにどうやって2軍がサポートするかが大事になる」

 今オフ、球団は大補強を敢行した。若手にとっては大きな壁となるが、チャンスがないわけではない。

 「実績だけを見れば、若手はチャンスは少ないかもしれない。でも、そこに割って入らないといけない。チャンスがゼロではない。今だ、っていう時に力を出せる選手に育ってほしい。今まで調子が良かったのに、肝心な時にダメ、という選手はなかなか大成しない」

 だからこそ準備が大事。坂本勇は新人だった07年に1軍昇格し、代打で初安打初打点をマーク。2年目はシーズン全試合出場した。

 「状況を見たり、ここはしっかり頑張らないとダメだな、と読める選手になってほしい。勇人は原監督がスタメンから外そうかなと思ってた日に絶対に打っていた。肝心な時にダメっていうのはプロとしてダメ」

 選手の士気を高めていくことも、指揮官としての課題の一つだと考えている。

 「選手がどういう心と体でキャンプに入ってくるか楽しみ。1軍のベンチ入り選手も28人から29人に1枠増えた。ファームの選手が『入る余地がないから』と言ったらそこで終わり。その辺のモチベーションを維持させるのはファームとしての一つの課題だと思っています」

 昨年まで2、3軍でコーチが分かれていたが、今季はファームコーチとして統一。監督だけが高田2軍監督、井上3軍監督という形で分かれる体制となった。

 「原監督いわく、2、3軍に分かれたチームじゃなく、ファームのみんなで一緒に情報を共有しようということ。頻繁に2、3軍の入れ替えが起こるかもしれないけど、活性化を図ることができる。新しいコーチも多いので、どういうことをするのかというのはすごく興味がある」

 1軍経験豊富な選手も参加した若手主体の昨年11月の秋季キャンプには、坂本工、田中優、橋本、巽、加藤、笠井という育成選手が参加。キャンプ不参加でG球場に残留した若手選手には大きな刺激になったという。

 「3軍からこの選手が頑張ってる、良くなってるという報告が来たら2軍で見てみたい。そしたら2軍にいる選手もうかうかしていられない。1軍を目指すだけでなく、下からの突き上げも来る。あぐらかいていちゃ逆に落ちていくし、何くそって頑張っていたら3軍から2軍に来られる。いい意味での危機感、緊張感を持った中でやることができたらいいですね」

 一生懸命やることは当たり前。選手たちには「考える力」を求めたい。

 「1~10を言うんじゃなく6~7を言って、残りの3か4を本人たちで答えを出してほしい。あとは自分で考えて、っていう指導方法もありなのかなと。特に今の選手たちは、考えるというか、感じる力が必要なのかなと思います。そういう力も育てていきたい」

 坂本勇、岡本に続くのは誰か―。底上げなくして、常勝巨人軍はない。

 ◆高田 誠(たかだ・まこと)1964年6月9日、東京都生まれ。54歳。現役時代は捕手。法政二高から法大を経て、86年のドラフト3位で巨人入団。91年オフにオリックスへ移籍。96年はチームの連覇に貢献し、ゴールデン・グラブ賞を獲得。98年に引退後、巨人1、2軍のバッテリーコーチ、チーフスコアラー、1軍ブルペンコーチなどを歴任。2016年から2軍バッテリーコーチに就任し、19年から2軍監督。プロ通算成績は467試合で打率2割3分3厘、10本塁打、101打点。

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