【巨人】長野、「最高のチームメートに恵まれ…」丸の人的補償で広島へ

スポーツ報知
丸の人的補償で広島へ移籍することが決まった長野

 巨人は7日、FAで獲得した丸佳浩外野手(29)の人的補償として、長野久義外野手(34)が広島へ移籍すると発表した。この日、広島側から通達があり、本人にも伝えられた。2009年のドラフト1位で入団するまで2度、他球団からの指名を拒否し、巨人愛を貫いた男は、球団を通じて「最高のチームメートに恵まれ、球団スタッフ、フロントの皆さんの支えでここまで頑張ることができました」と、在籍した9年間に感謝。3月29日の開幕戦(マツダ)で激突することを待ちわび、新天地へ赴く。

 再び巨人に激震が走った。丸の人的補償選手に、広島が指名通達してきたのは長野だった。炭谷の人的補償で内海が西武に移籍したのに続く、生え抜きベテランの移籍。ショックを受けたはずの長野だが、気持ちを切り替え、前向きに受け止めた。

 「3連覇している強い広島カープに選んでいただけたことは選手冥利に尽きます。自分のことを必要としていただけることは光栄なことで、少しでもチームの勝利に貢献できるように精いっぱい頑張ります」

 大塚副代表によると、長野は現在、米カリフォルニア州ロサンゼルスで自主トレ中。この日午前に連絡した際の反応は、「やっぱり元気ない」ものだったという。「まさかベテランを取るとは。ショック。本当に申し訳ないと謝りました」と、わびたことを明かした。

 巨人愛にあふれた選手だった。06年に日本ハム、08年にロッテから指名を受けたが、いずれも拒否。09年に巨人から1位指名を受けて夢をかなえた。10年に新人王、11年に首位打者、12年に最多安打のタイトルを獲得。入団から5年間で日本人史上最多の767安打を放つなど、中心選手として12年からの3連覇に貢献した。

 「最高のチームメートに恵まれ、球団スタッフ、フロントの皆さんの支えのおかげでここまで頑張ることができました。応援して下さったファンの皆様のおかげで苦しいことも乗り越えることができました」

 14年オフに右肘と右膝の手術を受けて以降、悔しいシーズンが続いた。昨年は打率2割9分、13本塁打、52打点の成績を残したが、出場は自身最少の116試合にとどまり、初めて規定打席に到達しなかった。12月の契約更改の際には「もっと強い気持ちでみんなで勝ちにいきたい」と、意欲を新たにしていたが、10年目のシーズンを新天地で迎えることになった。

 世代交代の過渡期にあるチームにおいて、賛否両論あるのは覚悟の上で、球団は内海の時と同様、未来ある若手を厚くプロテクトすることを選択した。石井球団社長兼編成本部長は、「チームの変革の時期とは言え、内海選手に続き、チームの顔として活躍してくれた長野選手を送り出すのは断腸の思い」と、28人の枠から外すのは苦渋の決断であったことをにじませた。

 それでも再会の場はすぐに訪れる。くしくも、3月29日の開幕戦の相手は広島(マツダ)。それに先だって3月5、6日にはオープン戦(マツダ)が組まれている。3連覇中の王者へ、原監督が率いて挑む新生・巨人の戦いに、また一つストーリーが加わった。「ジャイアンツと対戦することを楽しみにしています」。グラウンドでまた会おう。長野は、そう望んでコメントを結んだ。(西村 茂展)

 ◆山口オーナー「残念、痛い」

 〇…山口オーナーはこの日、都内のホテルで行われた時事通信社の互礼会に出席。広島への移籍が決まった長野について、「紛れもないチームの看板。誠に残念だし、痛いと思います」。現在、保留名簿に載っている選手が55名であることを明かした上で、「外国人などを除いていくと今回、プロテクト(28名)の検討の対象は確か47人だったと思う。そうすると19人は漏れてしまう。非常に難しいですよね。ルールだから仕方がない」と話した。

 ◆長野 久義(ちょうの・ひさよし)1984年12月6日、佐賀県生まれ。34歳。福岡・筑陽学園高から日大に進学。2006年大学・社会人ドラフトで日本ハムの4巡目指名を拒否し、ホンダ入り。08年ドラフトはロッテの2位指名を拒否。09年ドラフト1位で巨人入り。10年に新人王、11年に首位打者、12年に最多安打のタイトルを獲得。13年の第3回WBC日本代表。18年は長嶋茂雄の17年連続、原辰徳の12年連続に次いで球団史上3位となる入団から9年連続100安打を達成。180センチ、85キロ。右投右打。

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