【巨人】炭谷、夢物語の「フルイニング出場」で自分を追い込む理由

スポーツ報知
ノックを受ける新加入の炭谷銀仁朗(カメラ・泉 貫太)

 西武から巨人にFA移籍した炭谷銀仁朗捕手(31)が11日、千葉・館山での自主トレを公開し、今季の目標に球団では史上初の捕手での全試合フルイニング出場を掲げた。球界でも2リーグ制以降では南海・野村と自身の尊敬する城島が03年にダイエーで達成して以来誰もたどりつかない領域。正捕手は阿部、小林らとの争いだが「不可能かもしれないですけど、その目標は常に持っています」。2月の春季キャンプから“城島流”のコミュニケーション術で投手陣との連係を図り、信頼をつかむ。

 炭谷が「フルイニング出場」という捕手としては“高すぎる目標”を掲げた。

 捕手は野手の中で最も過酷なポジションで、確固たる正捕手がいるチームでも適度に休養を与えつつの起用が通例。昨季、全試合に出場した捕手は田村(ロッテ)だけで、スタメンを外れた試合もあった。僅差の終盤に代走を送りたいケースなども考えれば、フルイニングなど“夢物語”と言わざるを得ない。それは本人も自覚していると思う。

 ではなぜ、それを口にしたか。それだけ炭谷が試合に飢えている表れだろう。昨季、西武では森の台頭もあり、8年ぶりに3ケタを割る47試合の出場にとどまった。今回のFA移籍を、全てを懸けた「新しい勝負」と位置づけて決断したのだ。

 原監督は捕手を「グラウンド内の監督」と表現し、特に経験を重視する。小林を抱えながら、炭谷を獲得したのは、そのためだ。幼少期から憧れでもあった指揮官の期待に応えたい一心の「フルイニング」発言は、自らをさらに追い込む意味合いを強く感じた。(巨人担当キャップ・西村 茂展)

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