【巨人】岩隈、メジャーで学んだ勝利の流儀…ロスで直撃インタビュー

スポーツ報知
米国・ロサンゼルス近郊で自主トレを行う岩隈

 【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)=玉寄穂波】8年ぶりに日本球界に復帰する、巨人・岩隈久志投手(37)が13日(日本時間14日)、メジャーで学んだ勝利の流儀を説いた。若手選手たちに大舞台での経験を伝えることが期待されている中、「Enjoy(楽しむ)」と「Respect(尊敬)」を挙げた。また、絶対的エース・菅野との共闘も心待ちにした。

 誰よりも球春を心待ちにしている。岩隈はロサンゼルス近郊で自主トレを行い、万全な状態をアピールした。入団会見から約1か月。今の気持ちは。

 「僕自身もすごく楽しみになる1年になると思います」

 プロ20年目。11年オフに世界に飛び出し、マリナーズに7年間在籍。実績はもちろん、若手への知識や経験の伝達も期待される。会見では「とにかく野球を楽しんで」と話したがその真意は。

 「野球をやっているとうまくいかないことはたくさんある。勝負の世界だからどうしても追い込んでしまうけど、苦しんでやっていてもうまくならないので」

 原監督は就任会見で「のびのび野球」をキーワードに挙げ、原点回帰をテーマとした。通ずる部分もあるが、右腕の「楽しむ」とは何か。

 「アメリカに行って、野球を楽しむということは成長するということだと知りました。実際、小さい頃は楽しくて野球を始めたわけですから。勝たないといけない中でいかに楽しんでやれるか。若い選手も楽しみながら吸収するというふうにやっていければすごくいいんじゃないかと」

 厳しい世界の中で楽しむことは難しい。自分のプレースタイルを前面に出すのはもちろん、周囲の意見をどう取り入れるかが、新たな楽しみを生み出す。

 「楽しむというのは、ふざけることではない。プレーするのは一個人で選手の能力はそれぞれ違う。日本は簡単に言うとまとまりは良くて、悪く言うと個性がない。練習の取り組み方にしても、やらされるのではなく、自分から挑戦する事、アドバイスを自分のものにすることが大事かなと思う」

 メジャーは年齢、国籍も違うトッププレーヤーが集う。年下、年上は関係なく、互いにリスペクト(尊敬)しあうことが、チームの力になるという。

 「選手同士がお互いにリスペクトしあうことによって相乗効果が生まれる。すればするほど切磋琢磨(せっさたくま)して成長しあえる。それが(チームの勝ちに)つながると僕は思っています」

 新たな生活も始まる。高校(堀越高)以来の地元・東京生活。改めて巨人の印象は。

 「小さい頃から日本の野球と言えば巨人ですよ。そういう中でプレーさせていただくことは感謝しないといけない。報道陣の多さっていうのも恐らく…(笑い)。2軍担当記者もいると聞きました。そういう(注目される)所だなと」

 注目が大きい中、球界を代表する菅野と優勝を目指す。8歳下のエースにも、メジャー時代と同様、リスペクトの姿勢はぶれない。

 「日本の野球はあまり見ていなかったんですけど、菅野投手はすごいですよ。日本ではNO1だと思うし、簡単に言えばメジャーで結果を残せる力と技術は持っていると思う。その中でジャイアンツのエースとして戦っていることはとても素晴らしいこと。一緒にできるということで彼の考え方、投球技術も聞きたいなと思いますね」

 マリナーズからコーチを打診されたが断った。もう一度、野球を楽しみたいという気持ちが大きいからだ。

 「ここで辞めることになれば諦めきれない。自分の中でもう少し、もう一度できる。マウンドに立ちたいという思いがありました。またやってやろうと」

 原監督もよく口にする「チーム愛」を右腕は既に持っている。その強い“愛”でチームを引っ張り、優勝に導くつもりだ。

 ◆インタビュー後記

 岩隈が米国流の還元を口にした。昨年10年ぶりに日本球界に復帰した上原も「僕がやってきたことを伝えられたら」と常にオープンな姿勢を取り、米国での経験と考え方を新しい風としてチームに吹き込んだ。

 印象的な事例を挙げると、投球後にナインをたたえるベンチ前での“ハイファイブ”だ。「メジャーからいつもやってきたことですよ」とクールに話した上原だが、あの瞬間は選手たちの明るい笑顔が生まれ、球場には勝利の雰囲気が流れる。チームの勢いを加速させていた。

 今年は上原に加え、岩隈、中島が加入し、米国野球を経験した男たちがチームメートとして共闘する。野球ファンのみならず、若手選手も口々に「今までテレビで見てきた方々。すごい。信じられない」と興奮を隠しきれない。練習方法なのか、それとも考え方なのか、それぞれが米国スタイルをチームに還元すれば、プラスの“化学反応”が起こることは間違いない。(巨人投手担当・玉寄 穂波)

 ◆岩隈 久志(いわくま・ひさし)1981年4月12日、東京・東大和市生まれ。37歳。堀越高から99年のドラフト5位で近鉄入団。04年に最多勝。05年から球団創設1年目の楽天に所属。08年には21勝4敗、防御率1.87で最多勝、最優秀防御率などのタイトルを獲得し、パMVP、沢村賞。海外FA権を行使し、12年にマリナーズに移籍。15年にはノーヒットノーランを達成。17年9月に右肩の手術を受け、18年はマイナー契約。190センチ、77キロ。右投右打。年俸5000万円。

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