【巨人】原監督「やるか!」初日の活気に満足感 ゲレーロには30分の密室指導

スポーツ報知
練習前に円陣を組んだナインに話をする原監督(中央=カメラ・生澤 英里香)

 プロ野球は1日、春季キャンプがスタート。4年ぶりに指揮を執る巨人・原辰徳監督(60)は宮崎で、5年ぶりのV奪回に向けて初日から精力的に動き回った。フリー打撃時には、昨季不振に陥った17年本塁打王のゲレーロに30分の密室指導を行い、ブルペンでは投手陣の投球をくまなくチェック。ナインの活気ある動きに、指揮官は「きょうの気持ち、心構えを2019年のゲームセットまで続けていかせたい」と満足感を漂わせた。

 4年ぶりに球界の“元日”をユニホームを身にまとって迎えた。原監督の胸中も、また新鮮さにあふれていた。球団恒例行事である青島神社参拝からのキャンプイン。「球界的には明けましておめでとう、だね。風景は変わらないけど、その年その年でいろんな心境があるよ」。行く先を占うように、雲一つない青空が広がった。

 初日から精力的に動いた。最も象徴的だったのは、いきなり助っ人砲の再生に乗り出したことだ。フリー打撃開始前、ゲレーロがグラウンドに姿を見せるとすぐに歩み寄り「やるか!」と一塁側ブルペンへこもった。昨季は2割4分4厘、15発、40打点と不調に終わった17年の本塁打王。「彼が偉大なプレーヤーであることは間違いない。何か少し、本人の役に立つようなことがあれば」。吉村打撃総合コーチも加わり、約30分の密室特訓だった。

 オフの間は米国で自主トレを行っていたゲレーロに、原監督はメールで「二人三脚で打撃を改善したい」という意向を伝えていた。ゲレーロは「頭が動かないようにとか、打撃の基本的なところを説明していただきました。キャンプ初日に指導をしていただいたことは意気に感じますし、誇りに思う」と感謝。その後のフリー打撃は65スイングで4本のサク越え。成果は表れ、軸が安定して目線もぶれない。鋭い打球を連発するG砲を、指揮官もうなずきながら見守った。

 メニューにも工夫を加えた。フリー打撃では、昨秋まで2つだったケージを3つに増やし、それぞれ左右の打撃投手、マシンを順に回らせた。「本人たちがやりたいこと、時間を有効に使えるような形でメニューを作ろう、と」。少しでも振る数を増やし、かつ効率的なメニューを首脳陣間で模索し、異例の“3か所打撃”を導入した。

 自ら「サンライズブルペン」と命名した新ブルペンにも足を運び、岩隈を除く1軍15投手がブルペンに入った投手陣の投球練習も視察した。「仕上がりも非常に順調にきている。きょうはヤングマンが目立ちましたね。あれだけの上背で、あれだけの腕の振り。素晴らしい選手」。来日2年目の助っ人右腕を絶賛し、競争の激化を感じ取った。

 ナインは最後の特打まで声を張り上げながら、つらい練習を楽しくこなした。キャンプ前日には「それぞれがチームを引っ張る自覚を持て」と促した。「その予感は」と問われ「十分あった」と即答した。「継続するのが大事。きょうの練習の気持ち、心構えを、最後の最後まで、2019年のゲームセットまで続けていきたい、続けていかせたい」。船出は満点。原監督の表情に、充実の笑みが広がった。(西村 茂展)

 ◆原監督のキャンプ初日

 ▽02年 午前7時にお神酒と塩を持って宿舎を出発。この年からストライクゾーンが高めに広がり、ブルペンで打席に立って審判に声をかけながら確認した。

 ▽03年 新加入のペタジーニに「Oh! Take it easy(もっと気楽にやっていいんだぞ)」とアドバイス。

 ▽06年 午前10時からの練習を見届けた後、午後8時半まで行われた夜間練習を視察。

 ▽09年 ドラ1ルーキー・大田に打撃練習で「細かいことは考えないでセンター返しを心がけなさい」などと助言。

 ▽11年 ドラ1沢村のブルペンを視察。約10分、23球のみだったが「しっかりとした下半身で組み立てている。それが、良く映りましたね」と合格点。

 ▽12年 ベテラン、若手関係なく「強い選手を求める」と要求。新外国人・ボウカーの打撃を「スイングスピードは一番ある」と称賛した。

 ▽13年 各選手の仕上がりの早さに「いい意味で早すぎるくらい」と笑顔。ドラ1菅野の投球練習を視察し「十分、うちの投手陣の中で戦える力は持っている」。

 ▽14年 松井秀喜氏が臨時コーチで登場。「原タワー」で2人並んで練習を見つめ「他のコーチや私にも遠慮なく、この時間を自由に使ってください」と自由な指導を促した。

 ▽15年 ナインに「野性味」を求め、大田に「(野性味を)付け加えなきゃダメだよ。もっと自分の良さ、長所を知ること」などとアドバイス。

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