【巨人】吉川尚、3安打と好走塁で“いだてん”アピール 二塁手レギュラー争い一歩リード

スポーツ報知
6回1死一、二塁、この試合3安打目となる右前打を放つ吉川尚(カメラ・泉 貫太)

◆巨人紅白戦 紅組(2軍)5―5白組(1軍)=7回制=(3日・サンマリン宮崎)

 巨人の吉川尚輝内野手(23)が3日、チームの平成最速紅白戦となる1軍対2軍に、1軍の「1番・二塁」で先発出場し、3安打猛打賞で飾った。3回には自慢の快足も披露。2死からヒットを放つとすかさず盗塁を仕掛け、相手の失策が絡む間にホームを陥れる好走塁で先取点をもたらした。吉村打撃総合コーチは「スイングも速くなったし、期待してる」と絶賛。田中俊らとの正二塁手争いで一歩リードした。試合は5―5で引き分けた。

 打撃に走塁に躍動した吉川尚に、2万人の観衆が沸いた。「思い切っていこうと。今日は何かしらでアピールしたかった。たまたまヒットになったのでよかったと思います」。今年初の実戦で4打数3安打1打点1盗塁と好発進し「今日が試合だと知ってから、しっかり合わせて準備してきました」と笑顔を見せた。

 正二塁手獲得に向け、課題の打撃で輝いた。3回2死、体を泳がされながらもしぶとく二塁への内野安打を放つと、5回に2死二塁から左前適時打、6回には1死一、二塁から右前打。3打席連続安打でアピールに成功した。

 昨季は「2番・二塁」で開幕スタメンの座を勝ち取ったが、92試合で打率2割5分3厘、4本塁打、29打点と苦しんだ。「今日は本当にたまたま。たまたまです」と謙遜したが、単独で行った今オフの自主トレでは、体の使い方を研究。「動作解析をしたりビデオを撮ったりして、体の動きを見直しました」と、バッティングや守備の動きでの関節の動かし方を追求した。「まだ手探りの状態ですけど」と話していたが、早くも成果を示した。

 吉村コーチは「1軍で一番良かったよね。目立っていた。体も大きくなったしスイングも速くなった。期待してるよ」と絶賛。阪神の古里スコアラーは「振りが鋭くなっている。要注意しなきゃいけない選手」と警鐘を鳴らした。

 チーム5年ぶりの優勝には、尚輝の打線上位定着は不可欠だ。打力で見せると同時に、この日は自慢の走力でも沸かせた。両チーム無得点の3回に出塁すると、2球目にすかさず盗塁。相手の失策が絡む間に一気にホームを陥れ、先取点をもたらした。キャンプでは連日、鈴木外野守備走塁コーチの「走塁講座」が開かれており、盗塁や走塁への意識改革が行われている。「積極的に行かないと何も始まらない。スタートは良くなかったですけど、ベース間でスピードに乗れた。形になったのはよかったです」と効果を実感している。

 今年は正二塁手の座を田中俊、山本、吉川大らと争う。「僕はレギュラーじゃないんでね。まだ課題もあるし、(試合で)細かなミスもあった」と慢心はない。「まだ始まったばかり。もっと練習して次につなげていきたい」。過去2年間で1番は1試合だけ。リードオフマンとしての期待を背負う背番0が、最高のスタートを切った。(河原崎 功治)

 ◆吉川尚の1年目と2年目

 ▼17年(1年目) 新人合同自主トレでは上半身のコンディション不良のため、別メニュー&春季キャンプも3軍スタートに。5月9日に1軍に初昇格を果たすと、同14日の広島戦(マツダ)でプロ初出場。最終的に5試合の出場に終わったが、最終戦となった10月3日のヤクルト戦(神宮)ではプロ初安打を含む猛打賞をマークした。

 ▼18年(2年目) 前監督の高橋由伸氏から春季キャンプの強化指定選手に指名された。オープン戦で猛アピールを続け、「2番・二塁」で開幕1軍スタメンを勝ち取った。5月13日の中日戦(東京D)では松坂からプロ初本塁打をマーク。8月にヘッドスライディングの際に左手を骨折し、出場92試合にとどまるも、チームトップの11盗塁を記録した。

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