【巨人】尚広コーチが考える「走塁」とは

スポーツ報知
走塁練習で指示を出す鈴木尚広コーチ

 走塁のスペシャリスト鈴木尚広外野守備走塁コーチ(40)には独自の理論がある。

 春季キャンプでは、1軍の吉川尚、田中俊、松原、重信、2軍の立岡、若林、吉川大、増田大、湯浅の俊足9選手を集めて日々、「走塁講座」を開講している。1人ずつ個別に話し合い、走塁に関しての意見交換を行ったり、ともに走って直接指導している。鈴木コーチは走塁に関して独自の考えを語ってくれた。

 「目線は見るっていう視覚だけじゃなく、目線の広がりがある。スタートとかスライディングとか構えとかは最終的に完成されていくものであって、変えるものではない。形をつくるっていう意味ではバッティング練習と同じ。瞬時の判断も含めてどう判断していくかが盗塁はすごくカギ。そういった感性が養えるように指導しています」

 引退してから2年間。今季から再びユニホームを着用し、指導者1年目となる。伝える上で大切にしていきたいこととは―。

 「自分が一方通行にならないように。僕が見てて、『いいな』と思うのは選手同士『あーだ、こーだ』言ってる時。『今のどうでした』と。選手同士話し合うというのが今まで見られなかった光景なのかな、と。もちろん互いにはライバルであるんだけどチームとしてそういう姿勢はいい」

 通算228盗塁で通算成功率8割2分9厘と圧巻の結果を現役時代に残した。選手たちに伝えたいこととは―。

 「塁にいるだけでは変わらない。スタートしなければ評価されない。アウトなのかセーフなのか。そんなことをこわがっているうちではあの4万5000人いる中で勝負できない、と。そこを越えた人間だけいける。失敗なんて恐れなくていいし、完璧なんて求めなくてもいい。ミスを誘うような選手になれば勝手に相手がミスしてくれる。それが自分たちにとって成功になる」

 1、2軍の選手、互いにライバル同士を集めて一斉に指導した。

 「なぜ1、2軍一緒にしたかというとある種の共有した部分、共通性をしっかり認識しておくことが必要。今やってる練習とか意識は、『毎日やってくれ』と、みんなに言っている。それをやってないときはちゃんとお互いに言うべき」

 今季は「走塁改革」でチームに勢いをもたらすつもりだ。

 「全部がひとくくりではなく、個々が違う。それぞれコミュニケーションを取って、オンリーワンじゃないですけど、1人1人をコーディネートできればいいかなと思います」

 <鈴木 尚広>(すずき・たかひろ)1978年4月27日、福島・相馬市生まれ。40歳。福島・相馬高から96年ドラフト4位で巨人入団。2008年ゴールデン・グラブ賞獲得。15年に原監督の監督推薦で初のオールスター出場。16年限りで引退。通算1130試合、打率2割6分5厘、10本塁打、75打点。180センチ、78キロ。右投両打。

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