【巨人】長嶋さん、５年ぶりＶへナインに手紙「今年は新たな巨人軍になる」

　巨人・長嶋茂雄終身名誉監督（８２）が原巨人に愛情あふれるエールを送った。山口寿一オーナー（６１）が９日、宮崎キャンプを訪問。１軍全体練習開始前、ナインに訓示を行った中で、ミスターから預かったメッセージを代読した。「今年は新たな巨人軍になると思う。おおいに頑張りましょう」。世代交代の過渡期にあって、生まれ変わろうとするチームの背中を押す言葉に、ジャイアンツが一つになった。

　離れていても、ミスターの“巨人愛”は不変だった。１軍全体練習開始前。山口オーナーが右翼の位置で組まれた円陣の中心に立った。５年ぶりのＶ奪回へ、ひたむきに汗を流す選手の奮闘をたたえる約１０分間の訓示。そのハイライトは、長嶋終身名誉監督から託されたメッセージだった。聞き終えた原監督が、主将・坂本勇が、選手会長・菅野が、全ての選手が真摯（しんし）なまなざしでうなずいた。

　第３次政権となる原監督を迎え、大きく舵を切った。伝統を継承しつつ、球団史上ワーストタイの４年連続Ｖ逸という屈辱から生まれ変わって黄金時代を築け―。そんな願いが込められた恩師の言葉に、原監督も「一番、（ご本人が）グラウンドに足を運びたいだろうな、とひしひしと感じました。その中で、思いを伝えてもらった。頑張ります」と心に深く刻み込んだ。

　昨年７月初旬に体調を崩し、検査の結果、胆石が見つかったため入院して治療を続けていたミスター。その間に若干弱まった筋力を戻すリハビリに取り組んだため入院期間は長くなったが、山口オーナーは１月１８日のスタッフ会議ですでに退院していることを明かした。現在も、自宅で歩行などのリハビリに精力的に取り組んでいるという。

　代読した山口オーナーは「所々、日本語がおかしいところがあるかもしれないけれども、それも長嶋さんらしいということで」と笑いつつ「長嶋さんもすごく期待をしてるんだと思いますね。『新たな巨人軍』という言葉が入っている。そこに長嶋さんの思いはきっとこもっているんじゃないでしょうかね」と推し量った。

　新生・巨人軍を象徴する３人も思いを新たにした。ＦＡで広島から移籍した丸は「あれだけ影響力のある方の言葉ですから。ありがたいです」と受け止め、同じく西武から移籍の炭谷も「改めて巨人の一員になれたなと思います」と伝統の重さを実感した様子。新時代を主砲として担う岡本は「チームが引き締まった。明日からまた頑張ります」と背筋を伸ばした。ミスターのゲキで、チームの和はより一層強まった。

　チームは１０、１１日の紅白戦を経て、宮崎キャンプを打ち上げる。原監督が「開幕１軍に近いメンバー」とした沖縄行きの切符を巡るサバイバルもクライマックスへ。最高のタイミングでチームのムードは最高潮に達した。（西村　茂展）

　◆長嶋茂雄終身名誉監督メッセージ全文

　ジャイアンツは今年立派なチームになるように。

　その意味において力の限りやるためには、今年の巨人軍の選手をはじめコーチ、監督、一緒になって頑張ってもらいたい。

　今年は新たな巨人軍になると思う。

　おおいに頑張りましょう。　長嶋茂雄