【巨人】炭谷、セ移籍で改める「8番打者」の役割 村田真一氏が伝授“G正捕手の心構え”

スポーツ報知
スポーツ報知評論家の村田真一氏(後方)と両手を広げ、笑顔で捕手のポーズを決めた炭谷(カメラ・橋口 真)

 巨人の新戦力とスポーツ報知評論家の対談企画、第2回目は「村田真一が炭谷に迫る」―。巨人の前ヘッド兼バッテリーコーチ・村田真一氏(55)と炭谷銀仁朗捕手(31)がキャンプ地の宮崎で対談。お互いの捕手論から、巨人のマスクを長年にわたってかぶった村田氏から西武からFAで加入した炭谷へ「捕手はリーダー。グイグイ引っ張っていかないと」というメッセージまで、おおいに語り尽くした。(取材・構成=後藤 亮太)

 村田(以下、村)「巨人のユニホームに袖を通した率直な感想は」

 炭谷(以下、炭)「記者会見で原監督にお会いして、ユニホームを着た時も、がっとこみ上げるものがありました。宮崎に入って、部屋にユニホームが納品されていたので、それを着て、帽子もかぶって鏡で見た時もうれしかったですね」

 村「OBとしてもうれしいね。投手陣の印象はどう?」

 炭「沢村、菅野は代表で受けたことがありますし、吉川光も球宴で組んだことがありました。他の選手は名前は知っているけど見たことない投手が多かったので、映像とかを見たりしてからキャンプに入りました。見ていて楽しみな投手が多いなと思っていました」

 村「勉強熱心だね。誰が楽しみ」

 炭「高田、大江の同級生コンビだったり、今は1軍にいないですけど畠、あとは田口は受けてみたいと思ってました」

 村「打撃面はどう? (昨年までの)交流戦の西武戦のミーティングでも『炭谷は小力があるから一発だけは警戒しろよ』と言っていたんだ」

 炭「交流戦ではDHがなくて8番の役割が変わってくると思っていたけど、セ・リーグではそれが毎試合。考え方を変えていきたい」

 村「昔、王(貞治)さんに『8番で2割8、9分打っても、盗塁もないし、サインも出せない。だから2割5分でもいいから、2ケタ(本塁打を)狙う打撃をしていけ』と言われていた。状況によって変わるけど、あんまり小さくならないでほしいな。神宮、横浜は打球が飛ぶし、2割5分、2ケタの可能性はあるよ」

 炭「打撃は少しいい感覚があるので、頑張っていかないといけないなと思っています」

 村「ところで、炭谷くんにとって、いい捕手とはどんな捕手」

 炭「勝てる捕手です」

 村「そうだな。藤田(元司)さんが監督の時には『いい捕手は勝つ捕手。勝つ捕手を使って、負ける捕手は代える』と言われてきた。勝つためにどうする」

 炭「ジャイアンツは1年目ですけど、投手陣にはいろいろな話をしようと思います。良くも悪くも選ぶのは本人たち。その材料を僕は遠慮なく、上から言うのではなく、プラス材料の提供として、いろいろと伝えていけたら」

 村「(阿部)慎之助によく言ったのは、投手主体、打者主体、状況判断、この3つをどう組み合わせるかがリードの仕方。その3つが自分の中にあることと、相手打者の特徴をしっかり把握すること。その組み合わせ。無難なリードをしていて抑えられるのは、(菅野)智くらい。捕手がグイグイ引っ張らないと」

 炭「自分なりに(昨年まで)プロで13年間やってきたこともありますし、何か(投手陣に)新しいもの、いろいろな考え方を伝えて、それが少しでもプラスに働いてくれたら、いいんじゃないかなと思います」

 村「炭谷くんは今いくつ」

 炭「今年32です」

 村「脂がのりきっていて、一番いい時だね。俺は31歳の時の94年に初めてレギュラーとして日本一になった。そこで初めて周囲から認められたよ」

 炭「僕は巨人ファンだったので、小学生の低学年の時はずっと村田さんがレギュラーで捕手を務めていたイメージが強いです」

 村「俺なんてFAで移籍したこともないから、すごいプレッシャーで戦っていると思うよ。炭谷銀仁朗の名前を売るには、勝つこと。勝った時に喜べないやつは、チームのリーダーにもなれない。キャッチャーはリーダーにならないと」

 炭「今はただでさえ、厳しい声が多いのは知っています。その中で結果を出して優勝しないといけない。そういう部分でも、何が何でもという気持ちは強いです」

 村「1勝、1勝に執念を持ってプレーしてくれることを祈っているよ。テレビ越しに巨人のOBとして毎試合応援しているよ」

 ◆村田 真一(むらた・しんいち)1963年12月5日、神戸市生まれ。55歳。滝川高から81年ドラフト5位で捕手として巨人に入団。プロ20年間の通算は1134試合で、打率2割3分4厘、98本塁打、367打点。ベストナイン1度。01年に現役引退後は、巨人でバッテリーコーチ、打撃コーチなどを歴任し、昨年はヘッド兼バッテリーコーチを務めた。182センチ、82キロ。右投右打。

 ◆炭谷 銀仁朗(すみたに・ぎんじろう)1987年7月19日、京都府生まれ。31歳。平安高(現龍谷大平安高)から2005年高校生ドラフト1巡目で西武入団。06年は51年ぶりの高卒新人開幕マスク。15年ベストナイン、12、15年ゴールデン・グラブ賞受賞。18年から日本プロ野球選手会会長。181センチ、95キロ。右投右打。年俸1億5000万円(推定)。

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