【巨人】吉川尚、1番で打率8割 原監督指摘の右手一本クセ修正、“1番”も手放さない

スポーツ報知
DeNA戦の初回、中前打を放つ吉川尚は、最後まで両手でバットを握ったまま(カメラ・池内 雅彦)

◆練習試合 巨人1―3DeNA(17日・那覇) 

 巨人の吉川尚輝内野手(24)が17日、DeNAとの練習試合(那覇)に「1番・二塁」で先発出場し、3打数2安打と活躍した。これで「1番」として出場した実戦3試合で10打数8安打、打率8割をマーク。初回には相手の失策が絡む間に、一走として一気に三塁を陥れる好走塁を披露。1番の適性に二重丸の結果を残した。8回途中から登板した大江竜聖投手(20)は1回2/3を無安打無失点3奪三振の好投で開幕1軍を猛アピール。1―3と試合には敗れたものの、若手が躍動した。

 乗ってる男のバットは止まらない。狙いを定めて振り抜いた吉川尚のライナー性の打球は中前へと転がった。「しっかり初球から打ちにいくという意識の中で、いい結果になっている」。初回先頭。飯塚の5球目をはじき返し出塁。続く2番・丸の左飛を左翼手が落球する間に一気に三塁まで到達し「三塁に行ったらチャンスは広がる。次の塁を狙うという、いい走塁が出来たと思う」と納得の表情だ。

 続く3回の第2打席でも中前安打。前日(16日)の韓国・サムスン戦(那覇)の全3打席安打に続き、この時点で5打席連続安打だ。3日の紅白戦から「1番」に座った3試合は10打数8安打の打率8割。驚異の数字に「後ろにすごい選手がたくさんいるので、いい意味で思い切っていける」。吉村打撃総合コーチも「後ろに丸がいるから『出塁しなきゃ』といういいプレッシャーになって、打席に入っていると感じた」とうなずいた。

 首脳陣の教えを体現することで、結果に結びつけている。昨秋のキャンプ。フリー打撃で、原監督から振り切る直前にバットから左手を離し、右手一本になってしまうクセを指摘された。「練習ではしっかり両手を付けたまま振り抜くようにしよう。そうしたらスイングが固まってくる」。試合では厳しいコースを拾うときなど、応用技術として片方の手一本になるのは“引き出し”だというのが指揮官の考え。だが、練習は基礎、つまり理想の形のフォームを体に染みこませるものであり、そこを「ごまかさずに」やるべきだと教わった。その一点のみを常に意識。振る力も付いてきた。

 後藤打撃コーチからの「センター返しを狙え」という試合前の“指令”も見事に2本体現。今キャンプ中の鈴木外野守備走塁コーチによる走塁の意識改革を受け尚輝は「大きめにリードを取って、常に次の塁を狙うという意識でやっていた。外の球場でしたし、本当に何が起きるか分からないと今日の試合でも感じた」と好走塁の手応えを得た。

 3日の紅白戦後には一時、腰の張りを訴え大事を取って別メニュー調整。それだけに「しっかりアピールしてレギュラー争いをしていかないといけない」と気を引き締めた。

 2番に丸を置く超攻撃的打線を理想とする指揮官。そこへつなぐ、足だけでなくパンチ力を備えたリードオフマンの育成は那覇キャンプの大きなテーマだ。プロ入り後、1番打者としての公式戦出場は1試合だけだった尚輝だが、ここまで期待に応えている。「ただ振るだけでなくいろんなこと考えながらやっていけたら」。1番候補の本命に躍り出た。(小林 圭太)

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