【巨人】岩隈久志、桑田真澄氏と対談「巨人には溶け込みやすい」「セの打者を研究します」

スポーツ報知
対談し握手する桑田氏(左)と岩隈

 巨人の新戦力とスポーツ報知評論家の対談企画第4弾は、桑田真澄氏(50)と岩隈久志投手(37)のマッチアップだ。エースとしての輝かしい実績。故障との闘い。日米両球界を知る豊富な経験値。共通点の多い2人がキャンプ地の那覇で熱いトークを重ねた。

(取材・構成=星野和明、玉寄穂波)

 桑田(以下、桑)「右肩の状態はどう? キャッチボールを見せてもらったけど、まだ気持ちよく腕を振れてないかなって印象だった」

 岩隈(以下、岩)「上がってきてはいますが、まだ(体を)切り返すタイミングと(腕が)上がってくるタイミングがゆっくりしているというか、『パーン!』と合ってないように感じてます。桑田さんにキャッチボールを見ていただいた時は、肘が前に出てこない感じでしたが、その後のブルペンでは前に出てくるようになってきました」

 桑「岩隈君は背が高いから、前に倒れながら投げてるように見えるけど、実はまっすぐに立ってから体重移動しながら上体をうまく残して、腕がムチのようにしなって出てくる。僕は上背がないから、まっすぐ立つよりも始めから上体を後ろに倒しておいて、体重移動して投げるタイプ。今、肘が出てこないってことは(上体が)突っ込んでる可能性もあるよね。それがお尻からヒップファーストの形を作って体重移動できると、しなって投げられるようになるんじゃないかな」

 桑「巨人という注目される球団に入った。開幕から活躍したい気持ちがあると思うけど、どう考えてる?」

 岩「やっぱり開幕に照準を合わせたいですが、自分の体を考えながら作っていくのが大事かと。そうしないと(シーズン通して)もたないので」

 桑「絶対に焦ってほしくない。開幕のころは若い選手たちが元気だから。チームが苦しくなるのはシーズンの中盤以降。そこで『岩隈がいてくれて助かった』というイメージでいいんじゃないかな。もちろん開幕に照準を合わせながら。ダブルスタンダードかもしれないけれど」

 桑「日本でプレーするのは何年ぶり?」

 岩「8年ぶりですね」

 桑「ボールの違いは気にならない?少し大きくて滑るようなメジャーのボールに慣れちゃったでしょう」

 岩「日本のボールが小さく感じちゃいますね。引っかけるような感じが最初はありました」

 桑「変化球の曲がりは?」

 岩「そんなに変わらないかなと」

 桑「メジャーのボールは、日本のボールよりも、ツーシームがすごく変化したのを覚えてる。それとマウンドはどう? 軟らかいでしょう」

 岩「軟らかいのは大丈夫ですが、プレートの部分が掘れてるのが…。こんなだったっけ?って」

 桑「ストライクゾーンも少し違うでしょ」

 岩「日本の方が狭く感じます。向こうは(捕手が)構えたところに投げるとストライクにとってくれる」

 桑「米国の審判を取材したことがあるけど、彼らは構えたところに来たらGood job、ストライクだと。その代わり日本の捕手のようにミットを動かしたらボールにするって」

 桑「成績を残す以外にも、若い選手に経験を伝えるという役割もあるんじゃないかな」

 岩「若い子たちが聞きに来てくれるのはうれしいですね。(渡米前の)楽天の時は伝統みたいなものもなかったので、それぞれが違う方向を向いてるというか、プロは自分のことをしっかりやっていればいいという感じでした。巨人は上下関係がきっちりしている中で、みんな積極的に聞きにきてくれる。僕も溶け込みやすくて、いいキャンプを過ごさせてもらってます」

 桑「セ・リーグで投げるのは初めて。傾向としてはパ・リーグよりも選球眼がいい打者が多い。ブンブン振ってこないからややこしいよ」

 岩「そうですね。そこは研究をしていきたい。でも、思った通りに自分が投げられるなら、ゲームは作れるなっていうのはあります」

 桑「そういう意味でも、まずは自分のボールが投げられるようになるのが一番だよね。試合からは遠ざかっているけど、それだけ肩を休められたって解釈でいい。まさか今年で辞めようなんて思ってないでしょ?」

 岩「思ってません(笑い)」

 桑「そのためにも絶対無理しないで焦らずに調整してほしい。また岩隈君らしいピッチングを見せてください」

 岩「頑張ります!」

 ◆岩隈 久志(いわくま・ひさし)1981年4月12日、東京・東大和市生まれ。37歳。堀越高から99年のドラフト5位で近鉄入団。04年に最多勝。05年から球団創設1年目の楽天に所属。08年には21勝4敗、防御率1・87で最優秀防御率などのタイトルを獲得し、パMVP、沢村賞。海外FA権を行使し、12年にマリナーズに移籍。15年にはノーヒットノーランを達成。17年9月に右肩の手術を受け、18年はマイナー契約。190センチ、77キロ。右投右打。背番号21。年俸5000万円(金額は推定)。

 ◆桑田 真澄(くわた・ますみ)1968年4月1日、大阪府八尾市生まれ。50歳。PL学園では甲子園に5季出場し、1年夏と3年夏に優勝。85年ドラフト1位で巨人入団。21年間の通算成績は442試合、173勝141敗14セーブ、1980奪三振、防御率3.55。07年、米大リーグ・パイレーツに入団。通算19試合、0勝1敗、防御率9.43。08年3月、現役引退。2年目の87年にベストナインと沢村賞。94年はセMVP。02年に2度目の最優秀防御率。ゴールデン・グラブ賞8度。最多奪三振1度、沢村賞1度。

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