王・長嶋が宮崎で愛した釜あげうどん店「重乃井」が建て替え…王さんは今年2度来店

スポーツ報知
評論家時代の1983年、「重乃井」に立ち寄った長嶋茂雄さん

 巨人のキャンプ地・宮崎市で、巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(83)やソフトバンクの王貞治球団会長(78)らが現役時代から常連として通った釜あげうどん店「重乃井(しげのい)」(同市川原町)が、2月末の営業を最後に築98年の木造店舗を建て替える。3月からは仮店舗で営業、今夏に同じ場所で再開する。建て替えを聞いた王会長は今年だけで2度来店。長嶋さんには昨年12月に手紙で報告したという。

 長嶋さんや王会長、巨人の選手らも舌鼓を打った老舗が、その歴史をいったん終える。「重乃井」は2月末の営業を最後に建て替え。築98年の趣のある木造2階建ての店舗とはお別れとなる。

 おかみの伊豫展子(いよ・のぶこ)さん(68)は「やっぱり老朽化していまして、お客様のことを考えると災害防止のためには仕方なかった」と説明。3月中旬に解体し、今年夏には同じ場所で再開する予定だ。その間、隣接する駐車場に仮店舗を設け営業を続ける。「味はもちろん、伝統も守っていきたい」と意欲を見せた。

 店内には、長嶋さんが箸で釜あげうどんの麺を持ち上げ、笑顔を見せる写真がある。展子さんは「最後に来ていただいたのは数年前に主人が亡くなったとき。思い出話をしていただきました」としみじみ振り返る。ミスター本人には、昨年12月に手紙で建て替えを報告。「中身は変わらないので、また来られるくらい元気になったら、いらして下さい」とメッセージを送ったという。

 建て替えを知った王会長は、今年1月31日と2月4日に立て続けに来店。普段は体調を考えて並盛りだが、この時は大盛りを注文した。「キャンプの練習でつらい時、いつも支えてくれた。思い出が詰まったこの店は僕を成長させてくれた」と寂しそうに話しながら「新しくなっても頑張って下さい」と激励されたという。

 同店は展子さんの義母の故・美津子さんが、出身地香川のさぬきうどんの味を広めようと1921年築の自宅を改装し、66年に開店。北海道産の昆布、地元宮崎産のシイタケなどをベースにしたつゆに、約15分間ゆでた手打ち麺をつけて味わう。並盛りが650円、大盛りが850円。「創業以来変わらぬ味」と県内外から客足が絶えない。

 展子さんは「建て替えは一つの節目。たくさんの人に励ましてもらった。新しい店舗で感謝の気持ちを返していきたい」。ONが愛したうどんは、味は変わらぬまま新しい店舗へと衣替えする。

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