【巨人】おかえり慎之助、1073日ぶり捕手「朝から緊張」も原監督絶賛「水を得た魚のごとく、ね」

スポーツ報知
初回、捕手の守備位置に就いたとき、感慨深げにグラウンドの土にそっと指で触れる阿部(カメラ・相川 和寛)

◆練習試合 巨人7x―6中日(26日・那覇)

 巨人・阿部慎之助が26日、中日との練習試合(那覇)で先発マスクをかぶった。扇の要に座ったのは16年3月20日のオープン戦・西武戦(東京D)以来1073日ぶり。どっしりと腰を据え、細かく守備位置も指示。3回まで出場し、第1打席では左前安打も放った。3月20日で40歳になるベテランが、小林、炭谷、大城らとの正捕手争いへ名乗りを上げた。

 懐かしいコールが響き、おなじみのフルフェースマスクがベンチを飛び出してきた。「キャッチャー、阿部」―。大歓声と指笛に迎えられながらホームプレート後方に腰を落とすと、黒土を手でなでた。「昔は『キレない』とか『冷静に』とか書いていたけど、今日は特に何も書いていない。地面をいじっただけだよ」。実戦では1073日ぶりとなるマスク。高ぶる感情を抑えつつ、静かにミットを構えた。

 初回は京田、遠藤、平田を3人で片づけた。「(先発の)山口と、ちゃんとテーマを持ってやった。左打者の外スラと、チェンジアップ。平田から空振りを取ったチェンジアップは今後使えるんじゃないかな」。2回は味方守備のミスが絡んで失点。堂上には二盗を許したが、これは投球モーションが完璧に盗まれていたため、肩の威力を試すシーンとはならなかった。

 約3年間のブランクの影響か「朝から緊張していた」と阿部。投球間には、内外野の守備位置を細かく指示するなど、やはり存在感は別格だった。「相手を惑わせるのもある。特別、何かあって動かしたわけじゃない」。3回は再び3者凡退で終わらせ、3回1失点でまとめた。相川バッテリーコーチは「慎之助は器用。キャッチングは今でも一番うまいくらいだし、フットワークのキレやスピードが戻ればいける」と太鼓判。宮本投手総合コーチも「捕ってすぐ投げる。リズムがよかった。投手も投げやすいですよね」と感謝した。

 打っては2回、流し打ちで三遊間を破り、実戦3打席目で初安打もマークした。原監督は「水を得た魚のごとく、ね。打ち損じているように見えても安打になるのは見事」とたたえる一方で、「僕は『捕手・阿部』というのはいいイメージしか残っていないからね。そういう捕手へ、早くよみがえるというか。そこに期待したい」とも求めた。原2次政権時代、最強捕手として2度のリーグ3連覇へと導いたあの頃の姿に、どれだけ近づけるかが勝負になる。

 調整が遅れていた阿部が、キャンプ最後の実戦を経て、しっかり正捕手争いに加わってきた。「捕手ってしんどいな、と。カバーリングだったり、やることが多いと改めて感じた。思ったよりできたけど、明日の朝、無事に起きられるかな」。冗談めかしながらも表情は充実していた。阿部、小林、炭谷、大城。指揮官は、サバイバルのポイントを「守備力」としつつ「ゲームが始まると(グラウンドの)監督ですから。監督の立場で引っ張れる人が扇の要」と条件を明かした。グラウンドの監督―。阿部が最も得意とする分野だ。(尾形 圭亮)

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