【巨人】原監督、進化止めるな キャンプ総括「我々は挑戦者。1年間貫き通したい」

正しいレールに乗った。その充実感が、原監督の表情を穏やかにさせた。宮崎、那覇で1か月に及ぶ春季キャンプを終えた。それでも歩みは止めない。
「チームは少しずつ形をなしてきた。キャンプは終了するが、東京ドームから第2次キャンプと位置づけ、また構築していきたい」
その真意とは、選手への意識づけ。2日のヤクルト戦(東京D)から、オープン戦が本格化する。シーズン同様、連日の試合となるため、練習量の確保は各人の意識次第。キャンプで取り組んできた課題の解消、技術の向上がおろそかにならないようにという親心だ。
「せっかくキャンプでいいものを作っていながら『調整』で退化するケースもある。第2次キャンプというものにすると、そのどこかに『強制』というところも入る。そこは持ち続けてもらいたい。練習の一環で、コンディションを上げていくことが大事」
今キャンプでは3日に若手による平成史上最速の紅白戦を開催。主力も例年より早く10、11日の紅白戦から実戦に出場させるなど刺激を入れた。投手では大江、桜井、坂本工、野手では山本、北村、大城らの成長に目を細めつつ、“戦える選手”の数は日増しに増え、陣容も整いつつある。
「その部分は、ずっと上にいくとは限らない。でも、90点ぐらい。現段階で点数をつけるならば、それぐらいのものはある」
那覇キャンプで行われた6度の対外試合では、全戦で2番・丸、3番・坂本勇を貫いた。4番・岡本を含め、今季の目玉「マル・サカ・オカ」を並べる相乗効果は上々の手応えを得た。課題の1番も、俊足巧打の吉川尚、インパクトある打撃が魅力の陽を筆頭候補に定めた。今季の打順もメドは立ったが、まだ固めてはいない。サバイバルのリミットは3月14日のソフトバンク戦(ヤフオクD)終了後までと明言しているが、固定観念にとらわれず最後の最後まで可能性を探っていく。
「ぼんやりと出てきたのかな、ぐらいじゃない。ただ、まだまだ。『改めること、はばかることなかれ』という中で何が最善策か、どこかに模索する気持ちというものは持っていたい」
指揮官に導かれ、選手が、コーチがそれぞれ声を張り上げ、キャンプは活気にあふれた。球団ワーストタイの4年連続V逸という現実から目を背けず、苦しい練習も乗り切った。
「我々はやっぱり挑戦者である、ということだけは、どういう状況であっても1年間貫き通したい」
選手の口からも「日本一」という声が日増しにあがった。荒波へこぎ出す準備が、順調に進んだ証しだった。(西村 茂展)