【巨人】クック、打者3人7球料理「いいスタートが切れた」衝撃初登板

◆オープン戦 巨人2―6ヤクルト(3日・東京ドーム)
高まる感情を、クックは前面に出した。4点ビハインドの5回から来日初登板した。打者3人をわずか7球で料理し「楽しみにしていた。感触も良く、気持ちよく投げられた。いいスタートが切れた」。ベンチに戻ると選手、コーチとノリノリでハイタッチ。その笑顔が、満足感を物語っていた。
ベールに包まれた投球を披露した。坂口、青木、山田哲とヤクルトの主軸相手に、直球を軸にゴロアウトを誘発した。最速は青木と山田哲に対してそれぞれ1球ずつ、153キロを計時。スライダー、ツーシームはわずか1球のみで、最大の武器であるチェンジアップを投げる前に片づけた。昨季、自身3度目の「トリプルスリー」に輝き、直前の打席で一発を放った山田哲には、内角のツーシームで揺さぶり、最後は外角高めの直球で仕留めるなど、まともなスイングを許さなかった。報道陣から今後も、直球中心で投げるスタイルなのかと聞かれると「対戦相手にそう聞かれたのであれば、僕は『そうです』と答えるよ」とニヤリと笑い、“手の内は明かさない”とジョーク。ヤクルト・西沢スコアラーも「びっくりした。ちょっと要注意だよね。あんなに球が強いとは思わなかった。短いイニングで、直球で常時あのくらいの球を投げられたら(相手の)抑えとしてはね…」と警鐘を鳴らした。
春季キャンプでは実戦に登板せず、自身でフリー打撃の登板日を決め、調整した。序盤はボール球が多く、制球を不安視する声も聞かれたが、確実に状態を上げた。宮本投手総合コーチは「ほら見たか!ですよ」と絶叫。「ああいう投球をしてくれると投手陣の士気も上がる」と称賛し、原監督も「練習通りというか、むしろゲームの方がまとまっていた」とうなずいた。
沢村が先発に再転向し、コンディション不良のマシソンも出遅れていて、現在、守護神はもちろん、勝利の方程式も白紙状態。指揮官は「昨季の反省はブルペン。そこをしっかり強化するのは非常に重要」と、中継ぎを強化ポイントに指定する。「アウトを取ることが究極の目的」と新助っ人。クックがいれば昨季、救援陣で喫した20敗はぐっと減りそうだ。(玉寄 穂波)
◆ライアン・クック アラカルト
▼生まれとサイズ 1987年6月30日、米カリフォルニア州フレズノ生まれ。31歳。188センチ、100キロ。右投右打。
▼球歴 南カリフォルニア大からDバックスの27巡目(全体828位)でプロ入り。11年にメジャー昇格し、同年オフにアスレチックス移籍。12年は初戦から22試合連続無失点をマーク、オールスター戦にも選出。故障もあり18年にメジャー復帰し、19年巨人に入団。メジャー通算236試合で15勝13敗17セーブ、防御率3.58。今季年俸は1億4000万円。
▼巨人との縁 アスレチックス時代には中島と、Rソックス時代には上原と、そしてマリナーズ時代には岩隈とチームメート。
▼夢はカーレーサー 父・チャックさんがアマチュアのカーレーサーだったため、野球選手よりカーレーサーを夢見ていた時期もあった。
▼差し入れ 「クッキー」というあだ名で親しまれ、ファンからの差し入れはクッキーが増加。一番のお気に入りは依田(よだ)通訳からもらった「鳩サブレー」だとか。