【巨人】阿部、初球弾「400号打っちゃったね」 原監督「見事でした」

スポーツ報知
7回2死一塁、右中間へ2ランを放った阿部はベンチでナインに迎えられ笑顔を見せる(カメラ・泉 貫太)

◆オープン戦 巨人2―6ヤクルト(3日・東京ドーム)

 捕手復帰した巨人・阿部がバットでも見せた。ヤクルト戦の7回からマスクをかぶると、7回2死一塁で右中間へ2ラン。本拠地・東京Dでは1078日ぶりとなるキャッチャー姿をファンに披露するとともに、通算400号本塁打へ王手をかけている打撃でも存在感を示した。また、守護神候補のクックは5回から登板し、昨季打率3割以上をマークした坂口、青木、山田哲をわずか7球で料理。最速153キロの直球も光り、クローザーに一歩前進した。

 阿部が悠然とダイヤモンドを一周する姿は、キャッチャーミットを構える時と同じくらい、よく似合う。「ひと振りで仕留められてよかった。抜けたとは思ったけれど。(本塁打は)一番気持ちいいね」。6点を追う7回2死一塁。高梨の初球、高め直球をとらえると、打球は右中間席へ飛び込んだ。通算399本塁打で迎える今季、オープン戦のためもちろんカウントはされないが、「400号打っちゃったね」とおどけた。

 昨年の公式戦での初球弾は1本だけ。オープン戦では2014年3月12日のロッテ戦(QVC)で涌井から放って以来、5年ぶり。原監督も「バッティングは(ずっと)感じが良かった。見事でした」と舌を巻いた。

 4年ぶりの捕手復帰を目指して臨んだ春季キャンプは、例年と比べて打撃に集中する時間が限られた。「捕手としてやることが多すぎて、なかなか打撃のことまでは気が回らない」。キャッチングやスローイングなど、自身のことだけではない。バッテリーを組んだことのない若手投手も多く、どこを修正し、どうやって良さを引き出すかを考え抜く日々だった。

 東京DのG党の前で、久々のキャッチャー姿も披露した。2月26日の中日戦(那覇)でもマスクはかぶったが、本拠地の公式戦、オープン戦では16年3月20日の西武戦(東京D)以来1078日ぶり。6回終了後、指揮官が選手交代を告げる前に阿部がホームプレート後方に仁王立ちすると、スタンドが湧いた。7回には広岡に2ランを被弾するも、8回には好調の村上をカーブ攻めで三振。相川バッテリーコーチは「走者が走ったり、厳しいワンバウンドといった、試合の中での動きを戻していかないといけない」と課題を挙げつつ、「投手をうまくリードしてくれるのはさすが」とうなった。

 やるとなったら、何に対しても本気だ。今年はキャンプ直前にウクレレを購入し、宿泊先のホテルに持ち込んだ。楽譜も取り寄せ、時間を見つけては独学で特訓した。「ちょっとでも気分転換になればと思って。平井大の曲とかかな。まあまあちゃんと弾けるようになったよ」。捕手復帰へまだハードルはあるが、こちらは本業中の本業。本気になった阿部が、クリアできないはずがない。

 阿部の活躍で炭谷、小林、大城による正捕手争いは激化必至だ。阿部が先発することで打線を強化し、打ち合いに挑むのか。それとも、ビハインドからの代打で流れを変え、競り勝つ展開に持ち込むのか。首脳陣の戦略戦術の幅が広がることは間違いない。背番号10が扇の要に戻ったことも、V奪回への大きな補強だ。(尾形 圭亮)

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