【巨人】坂本工、鬼門・マツダで“奮投”2回0封支配下デビュー 誠也のバットをへし折った

スポーツ報知
6回から2番手で登板した坂本工。2回を投げ無失点の好投を見せた(カメラ・堺 恒志)

◆オープン戦 広島4―1巨人(5日・マツダスタジアム)

 巨人にとっては29日からの開幕3連戦でも激突する王者・広島との重要な前哨戦。輝きを放ったのは2日に支配下登録を勝ち取ったばかりの右腕・坂本工だ。6回から登板すると、4番・鈴木のバットをへし折り、赤ヘル軍団の一員となった元同僚の長野も打ち取るなど、“デビュー登板”で2回2安打無失点と好投した。チームが昨季、2勝9敗1分けと辛酸をなめた鬼門・マツダでの価値ある“奮投”。開幕1軍へ、遅咲きの24歳が再スタートを切った。

 坂本工が闘志をたぎらせた。6回2死。打席にはカープの主砲・鈴木誠也だ。同じ94年生まれ。誕生日は誠也が8月18日、坂本工が8月19日と1日しか違わない。気迫を込めた内角低めの143キロでバットをへし折ると、力ない打球がショートへと転がった。同世代のトップランナーを育成出身の雑草が封じ込めた。

 さらに7回2死だ。バティスタには左中間フェンス直撃の二塁打を許すも、代打で登場した長野を外角スライダーで右邪飛に打ち取った。「走者をかえさないように、点を与えないように。長野さんで止めることだけを考えていました」。支配下登録後の初登板で、2回2安打無失点と力投した。

 鬼門などお構いなしだ。チームは17年から18年シーズンにかけて、マツダで屈辱の13連敗を喫した。経験豊富な投手たちでさえ、独特の雰囲気にのまれ、苦しい戦いを強いられてきた。この日も平日のデーゲームにもかかわらず、2万2572人がスタンドを埋めたが、「それは気になりませんでした」と坂本工。オープン戦とはいえ、日本最難関のアウェーともいえるマウンドを、強心臓で乗り切った。

 2月のキャンプ実戦で着実に結果を残し、2日に支配下契約を結んだばかり。親族や知人から祝福される中、関西学院高時代の恩師からも「おめでとう」とメッセージをもらった。外野手としてプレーしていた当時は、200人近い部員の中で目立つ存在ではなく、公式戦出場経験もなかった。グラウンドで躍動する仲間をスタンドから見つめ、応援するしかなかった。

 「高校時代は苦しい思い出が多くて…」。それでも夢を諦めず、この大舞台に立つことが出来た。重圧なんて感じている暇はない。恩師からの連絡で、初心に帰ることができた。

 だから、無失点という結果よりも投球内容を反省した。「今日は野手の方に助けてもらいました。意図していないコースに、意図していない球が行ったり。ボールでいいカウントで、(ストライクを)取りにいってしまった。一つ一つレベルアップしていかないといけない」。生命線は制球力と緩急。大城の二盗阻止や北村のダイビングキャッチに救われたが、わずかなミスが大量失点につながりかねないことを実感した。

 この先は、開幕1軍を目指す戦いになる。当然、育成時代よりもさらに厳しい競争になるだろうが、そこに割って入る資格は得た。「結果を出し続けるということに変わりはない。やるべきことをやり続けるだけです」。昨季はいなかった戦力だけに、活躍はチームにとって最も大きな伸びしろになる。(尾形 圭亮)

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