【巨人】石川慎吾、V打で開幕スタメン殴り込み オープン戦打率3割8分5厘猛アピール

スポーツ報知
5回1死一、三塁、左中間へ先制の適時二塁打を放つ石川(カメラ・泉 貫太)

◆オープン戦 阪神1―3巨人(10日・甲子園)

 “ダイナマイト・シンゴ”が外野の開幕スタメン争いに殴り込みをかけた。敵地・甲子園での伝統の一戦。石川が0―0の5回1死一、三塁、馬場から先制の二塁打を放ち、勝負強さを猛アピールした。オープン戦の打率は3割8分5厘と好調をキープ。ライバルの陽はマルチ安打、ゲレーロもオープン戦1号とハイレベルなサバイバルが展開される中、原監督は「中堅・丸」以外は競争と改めて明言した。生き残りを懸けて、石川のバットが火を噴く。

 豪快なスイングで石川が捉えたライナー性の打球は、ジャンプした遊撃手のグラブをかすめ、左中間フェンス手前まで転がっていった。両軍無得点で迎えた5回1死一、三塁。馬場の初球フォークを捉えた。先制のタイムリー二塁打だ。「(相手が)併殺シフトを敷いていたので、ゴロではなくフライを打とうと目線を上げていた。初球から振りにいくのは長所だけど、そこに裏付けをつけられるように」。頭の中を整理して打席に立ち、結果につなげた。

 若手主体のメンバーで臨んだ前日9日のオリックス戦(京セラD)では2安打をマーク。この日はほぼベストメンバーで臨んだ試合で、チャンスをもらった。「監督はくじ引き(で決めた)って言ってました」と笑みを浮かべたが、ここで燃えない男ではない。

 1打席目は3球三振に倒れたが、2打席目の初球で汚名返上の決勝打。原監督も「いやあ、すごい打球だったね。すっごい打球だった。見事ですね」と拍手。さらに「(1打席目が)ふがいない打席だったでしょ。でも引きずっていないというところが、彼のきっぷのいいバッティングというかね。良かったですね」とたたえた。

 パワフルな打撃から“ダイナマイト・シンゴ”とも呼ばれる男の勝負強さが際立つ。今季は春季キャンプ2軍スタートも、2月3日の平成最速紅白戦の1軍対2軍戦では19年“チーム1号”の3ランをたたき込んだ。23日の那覇キャンプから1軍昇格すると26日の練習試合・中日戦(那覇)でも得点圏でタイムリー。今季、対外試合での得点圏打率は2打数2安打2打点の10割だ。「ホームランをバカバカ打てるような選手ではないので、打点を稼げる選手になりたい」。理想を体現する一打となった。

 外野手のスタメン争いにも堂々と割って入った。指揮官は「ファームからのスタートという中、彼の前に常に階段を置いてもどんどん、どんどん上ってくる」と評価。ゲレーロ、陽、亀井ら実力者が候補にいる両翼だが、「中堅・丸」以外は競争かと聞かれると、「もちろん」と明言した。

 トレードで加入した17年は99試合に出場したが、昨季は開幕1軍入りを逃し、出場試合は17に激減。活躍の舞台に飢えている。2軍でキャンプを過ごしていた時から、「開幕1軍じゃなくて開幕スタメンを本気で狙っているんで」と目をぎらつかせてきた石川。甲子園の虎党を黙らせたV打で、その可能性は確かに広がった。

(後藤 亮太)

 ◆石川 慎吾(いしかわ・しんご)1993年4月27日、大阪府堺市生まれ。25歳。東大阪大柏原高では3年夏に甲子園出場。11年ドラフト3位で日本ハムに入団。16年11月、吉川光とともに大田、公文との2対2のトレードで巨人に移籍した。愛称は「ダイナマイト・シンゴ」。178センチ、80キロ。右投右打。年俸は2100万円。背番号36。

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