【巨人】坂本工、6人から5K…開幕1軍へ原監督「非常にいい状態」

スポーツ報知
5回から2番手で登板し、2イニングを無失点に抑えた坂本工(カメラ・上村 尚平)

◆オープン戦 ソフトバンク3―2巨人(13日・福岡ヤフオクドーム)

 圧巻の投球もさることながら、降板後のコメントはさらに頼もしかった。坂本工は表情をゆがめた。「インコースの直球を狙ったんですが、それが真ん中に入ってしまった。悔しい一本でした」。6回先頭。柳田への初球、高め144キロはライナーで中前へ押し返された。相手は日本トップレベルの強打者だが、ひるんだ様子など全くない。抑え込んで名を上げるチャンスを、みすみす逃してしまった―。そんな口ぶりだった。

 強烈なアピールになったことは確かだ。5回先頭の甲斐をスライダーで見逃し三振に仕留めると、川島、今宮のバットも空を切らせ、いきなり3者連続三振。6回先頭の柳田には中前打を許したが、代走・釜元の二盗は炭谷が阻止した。続くデスパイネと塚田をチェンジアップで空振り三振に抑え、打者6人から5三振を奪って2回0封。堂々たる投球で、王者の強力打線を封じた。

 ファームで過ごした昨季までは、抑えようが打たれようが、試合後は自身の投球データや映像をチームスタッフに見せてもらい、修正点のあぶり出しと原因究明を欠かさなかった。関学大準硬式野球部出身ながら、メキメキと腕を上げて支配下登録を勝ち取った裏にはそんな努力がある。この日の登板後、宮本投手総合コーチからは「カウントが不利でも三振を取れることは自信にしていい」とたたえられたというが、本人としてはカウントの整え方が課題。これまでのように、きっちり修正してくるだろう。

 これでオープン戦は4試合に登板し、計6回1/3を無失点と好投を続けている。育成入団し、今月2日に支配下登録を勝ち取った。育成選手として入団した投手が支配下登録即、開幕1軍となれば巨人では史上初となるが、その快挙を大きくたぐり寄せた。原監督も「成長の跡は見られますね。だからといって(1軍決定は時期尚早)というところはあるけれども、非常にいい状態をキープしてくれている」と明言こそ避けたものの、開幕1軍が目前に迫っていることをうかがわせた。現状ではロングリリーフやブルペンデーでの登板などがメインになりそうだが、さらに好投を続ければ、方程式入りも夢ではない。「言われたところで役割を果たすだけです」と坂本工。まだまだ進化の過程にある24歳右腕は、ここからどんな変貌を遂げていくか。(尾形 圭亮)

 ◆坂本 工宜(さかもと・こうき)1994年8月19日、滋賀・高島市生まれ。24歳。関西学院高では外野手。関学大準硬式野球部で投手に転向し、4年春に最多勝、最多奪三振、MVP。16年育成ドラフト4位で巨人入団。昨季は2軍で23試合3勝4敗、防御率4・85。176センチ、82キロ。右投右打。年俸420万円。

 ◆ブルペンデー 救援投手を先発させ、2番手に先発が長く投げるケースは“オープナー”と呼ぶが、救援投手をズラリ小刻みに起用するケースは“ブルペンデー”と言う。メジャーで特徴的だったのは、昨年9月24日のヤンキースだ。先発の谷間となったレイズ戦で3番手のグレイだけが2イニングを投げ他の7人が1イニングずつと計8人をつないで4―1で快勝した。

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