【巨人】菅野VS千賀、5回まで“完全競演”「すごく刺激的な試合」

スポーツ報知
6回を投げ終え、小林(右)と笑顔でベンチに戻る菅野(カメラ・泉 貫太)

◆オープン戦 ソフトバンク3―4巨人(14日・福岡ヤフオクドーム)

 開幕投手を担う菅野が圧巻の投球を見せた。昨季日本一のソフトバンク打線を、5回まで1人の走者も許さない完全投球で、6回2安打無失点6奪三振。前回登板した8日のオリックス戦(京セラD)では4回9安打6失点と苦戦したが、中5日のマウンドできっちりと修正した。チームは両軍無得点で迎えた8回に2ランスクイズなどで一挙4点を奪った。キャンプから取り組んできた走塁改革の成果が表れた。

 これぞエースという投球に、誰もが酔いしれた。0―0の6回。5回まで完全投球を続けていた菅野が不運な内野安打2本などで無死二、三塁のピンチ。だが、動じない。ギアを上げ、甲斐をスライダーで空振り三振、上林は二飛に仕留めて2死。最後は今宮を内角への147キロ速球で三ゴロに。走者をホームにかえすことなく冷静に投げ終えた右腕の姿に球場全体が沸いた。

 前回登板した8日のオリックス戦(京セラD)は4回83球9安打6失点。中5日の調整期間でも「今までやってきたことを見つめ直した」と、キャッチボールから丁寧に投げて修正してきた。この日は両サイドへの直球と、スライダーのキレが抜群。「前回に比べたら、全球種コントロールできていたと思う」

 オープン戦だから打たれてもいいという考えはない。「今日大きな課題が出すぎるのもよくないなと。自分の中で危機感を持って投げたつもり」と、強い覚悟で臨み、「いい準備ができたなと」。6回68球2安打無失点、6奪三振と結果で示した。

 その中で、相手先発・千賀の投球がエースの闘争心をかき立てた。「初回からすごい球を投げていたし、負けられないな」と。17年WBCの2本柱。準決勝の米国戦では菅野から千賀への継投で惜敗。あの悔しさは今も菅野の胸に刻まれている。MLB軍団の米国チームから2人は「すぐにでもメジャーで通用する」と絶賛されたほどだ。

 当時27歳の菅野は、20年東京五輪へ向け「五輪はバリバリのホームの状態で戦える。あの歓声が自分たちに向けられると考えると、今から楽しみ。それまでにもう1段階、2段階パワーアップして大会を迎えたい」と誓っていた。それから2年連続沢村賞。この日は7回2死まで続けた千賀と5回まで完全投球の競演を見せた。

 「本能的にね。あれだけのピッチャーですから。彼はどういうふうに思っているか分からないが、僕が持っていないところを全て兼ね備えていると思いますし、彼が持っていないものを僕が持っていると思います。すごく刺激的な試合。開幕前にすごくいい勝負ができてよかった」

 3月29日の広島との開幕戦(マツダ)まで2週間。次回は23日のロッテ戦(東京D)が、最終調整となる。原監督も「彼は自分の役割は分かっている人ですから」と一任している。「悔いの残らないように。『やり尽くした』と思って開幕戦を迎えられるようにやっていきます」。開幕ではどのような投球を見せてくれるのか―。誰もがその時を楽しみに待っている。(玉寄 穂波)

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