【巨人】“尚広走塁コーチ式”2ランスクイズ マルティネス俊足発揮「先の塁狙う」

スポーツ報知
8回1死二、三塁、小林が投前にスクイズ(投手・川原、捕手・高谷)

◆オープン戦 ソフトバンク3―4巨人(14日・福岡ヤフオクドーム)

 迷わずに三塁を蹴った。マルティネスが自慢の俊足を存分に発揮した。「常にアグレッシブに先の塁を狙うのが僕のスタイルです」。8回、2点を奪ってなお1死二、三塁。小林が2ボール2ストライクからの7球目を、バットを水平に構えて投手前へ転がす。マルティネスは二塁から一挙生還し、2ランスクイズにして見せた。

 完璧な状況判断ができていた。スクイズのサインでスタートを切る。左腕・川原が捕球した際にはすでに、三塁目前まで来ており、さらに一塁へ投げる際に、三塁側へ背を向けることも頭に入っていた。「しっかり、動きを見ていました。投手が捕った時点で間に合うなと思ってホームを狙おうと思っていた」。一塁カバーに入った二塁手・牧原は虚を突かれ、本塁への返球もできなかった。三塁コーチスボックスに入っていた元木内野守備兼打撃コーチは、投手から一塁へと渡った送球の動きを指さして指示していたが「スピードに乗っていたし、本人が行く気だったからね。判断が良かった」と褒めた。

 今季、目指す形の一つだ。昨季のチーム盗塁数は中日と並んでリーグ最少の61。トップの広島とは34もの差が開いた。鈴木尚広外野守備走塁コーチは1月中から「足の速い、遅いにかかわらず、そういう共通認識をもって、数字に表れないところも高めていきたい」と次の塁を奪う意識で補う重要性を説いていた。キャンプではリードの幅を一歩広げる、2次リードの意識を持つ、スピードの落ちにくいスライディングなど、強調し続けてきた成果が表れてきた。

 光を放った足攻劇の一方で、原監督は影も見逃さなかった。「一つ、焦らせているという点で、我々にもどこか反省するところがあるかもしれない」と指摘した場面がある。8回、岡本が四球を選ぶ。代走・吉川大が盗塁と捕逸で三塁まで進む。だが、続くビヤヌエバの野手正面への三ゴロで、本塁に突入し、憤死した。

 無死三塁というシチュエーションで「高いバウンドのゴロは行こうね、という指示だが、ああいうゴロであっても行ってしまった。その辺は反省の必要はある」と指揮官。次の塁への意識、という言葉に全てを委ねることなく、冷静な状況判断が土台にあって初めて、好走塁は生まれる。この時期はまだ、反省もまた収穫。多くを手にした1イニングとなった。(西村 茂展)

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