【巨人】亀井、満塁弾!開幕5番で4番・岡本支える「与えられた場所でやるだけです」

◆オープン戦 ヤクルト7―8巨人(16日・神宮)
巨人・亀井が勝負強さを発揮し「開幕5番」に名乗りを上げた。ヤクルト戦の1回、原から右翼へオープン戦1号となる満塁弾。ゲレーロ、ビヤヌエバ、中島ら候補者の調子が上がらない中、圧倒的な存在感を示した。36歳のベテランに触発された坂本勇は7回に2号ソロ。丸も先制打を含む2安打と主力が順調な調整ぶりを示した。
打球方向を見つめた。ステップするように打席を踏み出した。亀井の両手には、確かな感触が残っていた。白球は、高い弧を描いて右中間席前列へ舞い落ちた。「走者をかえせたことが良かった。得点圏で打てたことに意味があるんでね」。オープン戦、公式戦通じて初のグランドスラム。それでも必要以上に表情を崩さないのが、仕事人としての矜持(きょうじ)を思わせた。
一振りで仕留めた。初回、1点を先行してなお無死満塁。3ボール1ストライクから、原の真ん中低め135キロのシュートを、この日最初のスイングで捉えた。今季1号アーチ。多くの選手を見極めるため、出場機会が限られるオープン戦では「一振りにかける思いが強い。一振りでいい結果が出せるように心がけている」と意識している。「1打席目の得点圏に走者がいる場面での一振り目で、いい結果につながったのはうれしい」とうなずいた。原監督も「(結果は)この上ないよね。キャンプからずっと、コンディションもいいですね」とたたえた。
原監督は5番について「4番を生かすも殺すも5番」とことさら重視する。4番は若き主砲・岡本が君臨するが、相手投手から最悪、歩かせてもいいというくらいの厳しい攻めに遭うことは想像に難くない。「彼を守るという部分でとても大事。岡本を孤独にさせないように」。岡本との勝負を簡単に避けさせない存在を確立することが現段階の課題の一つだが、まだその解は導き出せていない。
当初から5番候補として描いている新助っ人ビヤヌエバは日本の野球に順応している段階であり、ゲレーロもまだ打撃に波がある。14日に起用した中島も含め、最善策を模索しているが、指揮官の脳裏には亀井の姿もハッキリと描かれている。「(亀井も)クリーンアップを打てる力はもちろんある。その部分では非常にありがたい」。背番号9がいる限り、5番の適任者が“不在”となることはない。
昨季も、交流戦後には岡本の次の5番を任された。当時は「やっぱり和真の後っていうのは、プレッシャーありますよ。よく打つし、(打てなかったら)カバーもしないといけないし」と話したこともあったが、同じ奈良県出身の後輩を守る兄貴分として、責任感は人一倍だ。「与えられた場所でやるだけです」とフォア・ザ・チームに徹する亀様がいるだけで、チームの選択肢は何通りも広がる。(西村 茂展)
◆亀井5番メモ 昨年、公式戦で2年ぶりに5番で先発(47試合)。自身最多の134試合、25本塁打、71打点を記録した09年は5番を105試合務め、20発、56打点。3番・小笠原、4番・ラミレスと強力クリーンアップを形成し、優勝の原動力に。日本シリーズも第5戦の9回、貴重な同点弾を放つなど2本塁打。7年ぶりの日本一にも貢献した。