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“シニアルーキー”原辰徳さん、カッコいい勝利のグータッチをグリーン上でも!

2018年8月21日16時0分  スポーツ報知
  • 今年、シニアツアーに本格参戦した原辰徳さん

 “野球界最強ゴルファー”の呼び声も高い巨人前監督の原辰徳さん(60)が今年、ついにシニアツアーに本格参戦した。グラウンドからグリーンにも戦場を広げた球界のレジェンドが“シニアルーキー”としてゴルフ界の古豪たちに挑んだ。

 初参戦となった7月の熊本・阿蘇シニアオープンに続く第2戦目、ファンケルクラシック(8月17日~19日、静岡・裾野CC)では、中嶋常幸(63)、芹澤信雄(58)というビッグネームと同組でのラウンドとなり、大きな話題となった。

 ひょっとしたら、ひょっとするのでは!?

 ベストスコアは66。数年前、沖縄のゴルフ場で300メートル級の飛距離と力強い弾道のドライバーを目の当たりにした時からツアープロとも勝負になるのではと思っていたが、その想像は現実のものになった。

 大会前には「五輪精神で。参加することに意義がある。ゴルフ界のレジェンドの皆さんとご一緒できることに興奮している」という“新人”らしい言葉とは裏腹に、その顔は闘志があふれていた。巨人を12年間で7度のリーグ優勝、3度の日本一に導いた闘将が浮かべる若々しい笑みは、現役時代そのままだった。

 原さんは「挑戦」という言葉をよく口にする。

 全国の小中学生を対象にした野球教室「ファンケル・キッズベースボール」では、総監督的な立場でプロ野球OBを率いて全国で熱血指導を行っているが、どの会場でも必ず参加者たちの目をしっかりと見ながら「挑戦」の大切さについて力強く説く。

 昨年11月に「ペルー日系人協会設立100周年 JICA野球教室」でリマまで遠征した時も、現地の少年少女と共に汗を流すと「将来、巨人に入れそうな選手が5人いました。皆さんには無限の可能性がある。自分が夢中になれることを見つけて一生懸命チャレンジして下さい!」と激励。その全身からみなぎる熱さとさっそうとした姿に現地の人々からも大きな声援と拍手。原さんのオーラの力は国境を越えた。

 ちなみにこの旅にはいらないオマケがついていた。どうやら現地の水に問題があったらしく、参加した講師やスタッフのほとんどが帰国後に腹痛や下痢に見舞われた。しかし、そこは原さん。そんなことではビクともしなかった。「おっ、君も大丈夫だったんだろ、よかったなっ! えっ僕? もちろん平気だよ!」と、同じく難を逃れた記者の無事を笑顔で喜んでくれた。日本球界の誇る闘将の胃袋は、異国のイタズラ菌にも負けはしなかった。

 そんな原さんが満を持して挑んだファンケルクラシック。プロに勝るとも劣らぬ270メートル越えのドライバーを見せつけたが、初日は6オーバーで75人中68位、2日目も6ボギー、4ダブルボギーと振るわず最下位に。しかし、最終日には「テイクバックの位置を修正して体を大きく使うこと」を思い出し、スイングの安定感を取り戻すと、2バーディー、2ボギーの72。通算20オーバーの73位で大会を終えた。

 「実は大会の前に猛練習したら腰を痛めてしまって。野球でも若い選手がノックで“もう1本っ!”と粘り過ぎてしまう、あの無理をする気持ちを思い出したよ」

 大会前に入れ込みすぎたのか、腰を痛めながら、それを押して強行出場。実力を発揮することはできなかったが、それでも原さんは最後まで戦い抜き、歴戦のプロが集う大会での善戦を「4打数3安打、2ホームラン」と自己採点。大勢の観客の声援を受けながらの久しぶりの真剣勝負に「朝起きた瞬間から、血管の中の血液が沸騰している感じがあった。観客の皆さんの声援も気持ちいい」と満足げな表情を浮かべた。

 会場を後にするたくましい背中に「お疲れ様でした!」と声をかけると「野球教室よりちょっと疲れたかな?」とちゃめっ気たっぷりに応えてくれた原さん。激闘の直後でも「ゴルフが大好きだ」と答えてくれたが、今年のシニアツアーへの挑戦はとりあえず一区切り。球界、そして、気になる古巣・巨人への後方支援という大事な務めもある。しかし、若大将がこのままで終わる訳がない。あのカッコいい勝利のグータッチをグリーン上でもみせてもらえる日が待ち遠しい。(記者コラム・小野田 寛)

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