女子ゴルフ、来季試合減も 主催者へ放映権料の支払いを要求 テレビ局は困惑

スポーツ報知
来季試合減の可能性も出てきた女子ゴルフ

 国内女子ツアーを主管する日本女子プロゴルフ協会(LPGA)が19年から各大会の主催者へ放映権料の支払いを求めている件を巡り、数試合が来季ツアーから撤退する可能性が出ていることが27日、分かった。来季の大会継続に向けLPGAが定めた今月20日の回答期限までに、複数のテレビ中継局が条件付きの回答を提出。9月25日をメドに個別交渉を続けていく方針だが難航が予想されており、交渉が決裂する可能性もある。

 華やかな国内女子ツアーの来季の雲行きがあやしくなってきた。発端は昨年8月24日。LPGAトーナメント主催者会議の席で突然「19年シーズンからLPGAによるツアー各大会の放映権の一括管理を行う」と通達が出された。関係者によれば19年は無料の予定だが、20年以降の放映権料は1試合1000~3000万円と予想されている。

 日本では1967年のLPGA発足以降、中継するテレビ局がスポンサーとなって試合を増やしてきた歴史がある。そのため、サッカーなどの他競技と違って放映権は大会主催者に帰属する考えが一般的で、男女ともに放映権料は存在してこなかった。関係者によると、今回の放映権料徴収について小林浩美会長(55)以下LPGA側の主張は「財務基盤の立て直しのため。選手育成費や引退後の保証や年金を確立したい」とのこと。ただ近年はテレビ視聴率が低迷。中継には中継車や人員など1大会で数千万円もの経費を要し、赤字で放送している中継局も少なくないのが現状だ。

 今年7月3日には、LPGAが各大会主催者に来年からの規程の改定も通達した。来年以降、ツアーの放映権はLPGAとテレビ局の2者間契約となり、大会スポンサーの事業主催者は除かれる形に。大会を開催するメリットが制限されることになり、スポンサーからも不満が噴出した。LPGA側から事前の根回しはなく、テレビ局側が説明を求めても一方的な通達のみ。ツアー中継局関係者からは「特殊な経緯があるのに手法が強引過ぎる。テレビ局側の考えも一切聞かずに、なぜ急ぐのか」などと憤りの声が出ている。

 LPGAは9月末をメドに各大会放送局と個別交渉中。複数の中継局は来季以降の大会継続の条件として「LPGAへの放映権の帰属を認めないこと」を強く求めており、難航が予想される。万が一、撤退する試合が出た場合、LPGAは新規大会開催や下部のステップアップツアーからの昇格も検討している模様だ。

 国内女子ツアーは3月初めから11月末まで、試合のない空き週はわずか1週間のみ。年間38試合で賞金総額は6年連続で最高額を更新中で、今季は37億2500万円に上る。来季も隆盛を維持できるのか、8年ぶりに試合数減へ転じるのか。今後の交渉次第では、大きな時代の転換期となる可能性も出てきた。

 〇…スポーツ報知はLPGAに来季のテレビ放映権に関する取材を申し入れた。しかし「LPGAトーナメントの放映権につきましては、現在、主催者様と当協会との間で協議中であり、相手方のあることですので、当協会としては、今回の取材に応じることは差し控えさせていただきます。発表できる段階になりましたら、こちらから発表させていただく所存です」という書面での回答のみとなった。

 〇…LPGA側が放映権の帰属を急ぐ背景には、19年から開始を見込むツアーのネット配信があるとみられている。サッカーのJリーグが、17年から英パフォーム・グループの「DAZN(ダ・ゾーン)」と10年間2100億円で契約。人気選手が多いLPGAは資金力のあるネット配信業者の注目も高く、ツアー関係者の間では「年間10億円規模の契約になるのでは」と噂されている。

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