【こちら日高支局です・古谷剛彦】新種牡馬ダノンバラードの活躍に見えるディープの血の底力

スポーツ報知
デビューVを飾ったナイママと関係者

 日本ダービーが終わり、JRAでも2歳戦がスタートした。勝ち馬の種牡馬(カッコ内は現3歳世代のJRA2歳戦勝利数の順位)を見ると、ディープインパクト(1位)、ロードカナロア(2位)、ダイワメジャー(3位)、キンシャサノキセキ(9位)、オルフェーヴル(15位)だった。昨年の2歳戦で結果を出した種牡馬が、今年も順調に滑り出した。

 私の持論だが、4月から始まる地方競馬での2歳戦で、新種牡馬の産駒が活躍する年は、相対的に世代レベルが高いと、何度か書いたことがある。昔は新しもの好きの印象もあり、新種牡馬に期待する向きもあったが、サンデーサイレンス全盛期から、その流れは変わった。セールでの取引が当たり前となってきたことも含め、堅実な産駒を送り出す種牡馬の方が生産者側のみならず、購買者側も安心する傾向があるとともに、実績がそのままレースでも顕著に出る時代になってきた。その意味でも、新種牡馬以上に、実績のある種牡馬と配合している繁殖牝馬の質が高く、生まれてくる数も当然ながら多い。この図式から、必然的に実績ある種牡馬の産駒は、確実に成功するという見解だ。

 今年の新種牡馬は、ホッカイドウ競馬で4頭が勝ち馬を輩出している。特に、産駒頭数が決して恵まれていないヴィットリオドーロから、能検初日に一番時計をマークして、その評判通りのスピードを見せたイグナシオドーロ(牡、北海道・角川厩舎)が5月2日の「スーパーフレッシュチャレンジ競走1」を制した。

 そして、5頭の産駒がデビューして2頭が勝ち上がっているのが、ダノンバラードだ。ウィンターフェル(牡、北海道・林和厩舎)は、5月22日に1000メートルで差し切り勝ちを収めた。そして、POGファンも注目するナイママ(牡、北海道・田部厩舎)は、5月31日に今年初めて1500メートルで実施された「フレッシュチャレンジ競走」を中団で折り合いをつけ、勝負どころから外に持ち出すとエンジンの違いで2着に2秒2の大差をつける圧勝を収めた。

 「物見がひどかったり、口向きの課題はありますが、折り合いはつくタイプで、乗りやすい馬です。芝向きのフットワークで、中央挑戦が楽しみですね」と、手綱を執った五十嵐冬樹騎手もその背中を絶賛していた。JRAの札幌2歳S(9月1日、札幌・芝1800メートル)を目標に置いており、コスモス賞(8月11日、同)で出走権利を取るために、まずは地元のトライアルに照準を合わせるという。

 父のダノンバラードは、オルフェーヴル世代の2011年皐月賞の3着馬。G1勝ちの実績がないこともあって、初年度の種付頭数は41頭と少なく、生まれたのも26頭のみ。血統登録された頭数は25頭で、その中からナイママのような大物候補が出た。2世代目は12頭との交配で6頭しか生まれていない。その後、海外へトレード(17年はイタリアで供用、今年は英国で供用予定)されたが、ディープインパクトが世界に名を轟かせている状況から、日本での実績以上にディープ産駒に対する評価は高い。

 その中にあって、ビューティーパーラー(13年グロット賞でディープ産駒として海外重賞初制覇)から始まり、今年はサクソンウォリアーとスタディオブマンが欧州クラシックを制すなど、ディープインパクトの血はさらに関心が高まるだろう。(競馬ライター)

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