【秋華賞 ルメール騎手独占手記】母国フランスにはない「3冠」信じられない アーモンドアイのレベルならどこへでも行ける!

スポーツ報知
牝馬3冠を達成したアーモンドアイ(右)。馬上のルメールは拳を握りしめた

◆第23回秋華賞・G1(10月14日・芝2000メートル・京都競馬場、良)

 第23回秋華賞・G1は14日、京都競馬場で行われ、単勝1・3倍の圧倒的1番人気に支持されたアーモンドアイが衝撃的な末脚で差し切り、桜花賞、オークスに続き史上5頭目の牝馬3冠を成し遂げた。エスコートしたクリストフ・ルメール騎手(39)=栗東・フリー=は、母国フランスにはない「3冠」を制覇した思いをスポーツ報知への独占手記にしたためた。

 やったー! アーモンドアイで牝馬3冠を達成することができました。何度も乗せてもらっていますが、今日の瞬発力は本当に素晴らしかった。まだ信じられないくらいです。

 単勝1・3倍。たくさんの視線が注がれていましたが、不思議と緊張はしませんでした。ゲート内で落ち着きがなかったこと。3、4コーナーで前の馬が進んでいかず、大外に進路を取らなければいけなかったこと。その心配な点も、すべて彼女の末脚が吹き飛ばしてくれました。ファンタスティックホースです!

 僕の母国、フランスには牡牝ともに3歳の「3冠」というものがありません。牡馬なら仏2000ギニー(皐月賞)、仏ダービー、牝馬なら1000ギニー(桜花賞)、仏オークスと、同世代での戦いは春で終わり。だから、ディープインパクト、オルフェーヴル、ジェンティルドンナ…。一年をかけた日本の3冠の戦いをずっとテレビで見て、あこがれていたんです。仕事をやり遂げ、計り知れない重圧から解かれたあとの(武)豊さんや(池添)謙ちゃん、岩田さんが、とっても格好良くて…。ジョッキーとして、すごくうらやましかった。

 でも昨夏、新潟でアーモンドアイに出会って、その夢が現実に変わりました。新馬戦は2着に負けてしまったけど、素質の高さに驚いてみんなに言っていたんです。「あの牝馬、すごいよ!」って。その直感通り、桜花賞、オークス、そして秋華賞を全て完璧にクリアしてくれました。3戦ともにコースが替わり、特にラスト1冠はトリッキーな京都内回り。アーモンドアイだからこそ、成し得た快挙です。

 1年間、馬の状態をキープし続けることが本当に難しいことは身をもって知っています。素晴らしい仕上げをしてくださった国枝厩舎、牧場のサポートに感謝の気持ちでいっぱいです。“チーム・アーモンドアイ”で仕事を完遂し、歴史に名を刻めたことが本当にうれしい。

 「今まで乗ったなかで強い馬は?」と聞かれた時には、フランスではディヴァインプロポーションズ(仏オークスなどG1・5勝)、日本ではウオッカ(G1・7勝)の名前を挙げてきました。G1の実績では、その2頭にまだ届いていません。でも、彼女たちに並び、超えられる未来がきっとあるんじゃないか。そう感じてなりません。加速、パワー、瞬発力、スタミナ、スピード…。競走馬にとって大切なものを全て備えているからです。

 今後は古馬との戦いになりますし、海外も視野に入ってくるでしょう。でも、彼女のレベルならどこへでも行ける。もし、凱旋門賞が来年のメインターゲットになればすごく楽しみ。今日の仕上がりはおそらく80%くらい。それでも十分でしたが、経験を重ねてもっと強くなってくれたら、空を飛んじゃうかも(笑い)。大きな夢を追いかけて行けるよう、僕も精いっぱい頑張ります! 大きな声援、ありがとうございました!(JRA騎手)

競馬

×