【チャンピオンズC 杉山調教師インタビュー】JRA・G1連勝を狙うケイティブレイブは「理想とする完成形に近づいてきている」

スポーツ報知
充実一途のケイティブレイブ。前走を圧勝した勢いで挑む

◆第19回チャンピオンズC・G1(12月2日・ダート1800メートル、中京競馬場)

 第19回チャンピオンズC・G1(12月2日、中京)は、昨年4着と届かなかったケイティブレイブが、前走のJBCクラシックでJRA・G1を初制覇した勢いをぶつける。管理する杉山晴紀調教師(36)=栗東=は、交流G1・2勝の実績馬を今年2月末に引退した目野哲也元調教師(70)から引き継ぎ、結果を出してきた。16年秋の開業から3年目の若きトレーナーに、取り組みや意気込みなどを聞いた。

 ―前走のJBCクラシックで、人馬ともに中央G1を初めて勝った。

 「もともと、地方のG1は勝っていた馬。(今年2月末の目野調教師の定年引退を受けて預託が決まった時は)ありがたいという気持ちもありましたが、プレッシャーの方が大きかった。自分のやり方でさらに強くなったと思ってもらえるには、中央の舞台で勝つというのが1つの目安でした。やってきたことが実になったというのはうれしかったですね」

 ―何に取り組んできた?

 「ダート馬に多い前がかりというか、かき込むタイプだったので、もう少しバランスを後ろにして、トモ(後肢)でしっかり走らせるようになればいいかな、と。地方向きのパワータイプと思っていたけど、中央のスピードに対応できるようにと意識してやってきた面はありました。普段から馬にまたがってから降りるまで、うちなら2時間ほど、乗っている人間がずっと意識しながら動作させる。地道な訓練なんです」

 ―中団から長く脚を使い、勝ち方もよかった。

 「ああいう競馬ができれば、どんな展開にも対応できるでしょうし、取りこぼしも少なくなる。(福永)ジョッキーも『もっと上に行ける馬』と言ってくれている。理想とする完成形に近づいてきているんじゃないかと思う」

 ―この世界に入ったきっかけは?

 「中学時代に馬券の売り上げが4兆円に迫るぐらい競馬が盛り上がっていて、周りにもゲームやテレビで興味のある友人がいたんです。そんな中でちょうど見たのが96年の菊花賞。ダンスインザダークの勝ちっぷりに衝撃を受け、武豊騎手の姿に憧れたんです。体形的に騎手は無理でしたけど、中学の卒業アルバムにある将来の夢に『日本中央競馬会の攻め馬専業調教助手』とすでに書いていたんですよ」

 ―22歳で武宏厩舎に念願の助手として入り、09年の菊花賞馬スリーロールスの調教に携わった。

 「大きな影響を受けた馬ですね。先生には完全に(メニューを)任せていただいていた。大きな経験でした。その後、次のステージへという思いが芽生え、腰椎ヘルニアで乗れない時期もあり、調教師を目指すという気持ちになりました」

 ―厩舎として心がけていることは?

 「中途半端ではなく、何事もしっかりやりたいんです。その中で個人個人が責任を持ちつつ、(担当馬について)考えることを楽しく思い、仕事に取り組んでもらえるのが一番。そういう厩舎にしたい。私もカイバの栄養素、調教のメニューなど一頭一頭の様子を見て、担当の人と相談しながら、その馬に合った方法を考えています」

 ―一頭一頭と密接に関わる作業は労力が大変だ。

 「今の時代はそうでもしないと成績は挙げられません。最初から能力の高い馬を預けてもらえるわけではない。現状の勢力で、いかに実績を挙げるかとなると一頭一頭を細かくやっていかないといけない。厩舎に入ってきた馬は全部、一度は自分で乗っています」

 ―G1連覇がかかる一戦に向けての意気込みを。

 「厩舎として考えていることに、思った以上にケイティブレイブが応えてくれている。前走はそれが結果として出ました。一番強いと言われるメンバーがそろう中、今の勢いでさらにいいパフォーマンスを見せてほしい」(聞き手・山本 武志)

 ◆杉山 晴紀(すぎやま・はるき) 1981年12月24日、神奈川県出身。36歳。高校卒業後、石川・小松温泉牧場で4年間の勤務を経て、04年7月に栗東・武宏平厩舎に入り、厩務員、調教助手に。栗東・高橋康之厩舎を経て、16年10月に開業。今年の目黒記念(ウインテンダネス)でJRA重賞初制覇、JBCクラシック(ケイティブレイブ)で同G1初制覇を果たした。JRA通算40勝。

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