【高松宮記念】4歳ミスターメロディが、新短距離王!福永騎手、天国のキングヘイローに勝利ささげた!レースは3連単449万7470円の高配当に

スポーツ報知
混戦から抜け出したミスターメロディ(右)がG1初制覇

◆第49回高松宮記念・G1(3月24日・芝1200メートル・中京競馬場、良)

 春のスプリント王決定戦、第49回高松宮記念・G1は24日、中京競馬場の芝1200メートルで争われ、3番人気のミスターメロディが直線で抜け出してG1初制覇。騎乗した福永祐一騎手(42)=栗東・フリー=はレース最多タイの3勝目を挙げた。2着に12番人気のセイウンコウセイ、3着に17番人気のショウナンアンセムが入り、3連単は449万7470円の高配当となった。

 24年のキャリアで積み重ねたものを、福永は67秒あまりの電撃戦に絞り出した。頂上決戦で芝では初の1200メートルに挑んだミスターメロディを、完璧なタクトで栄冠に導いた。「何とか結果を出したかった。やりたい競馬をできました」。天国の盟友に少し胸を張った。

 発馬を決めると「初距離でじっとしていると置かれそうだったので、少し促していった」と内の4番手の絶好位へ。抜群の手応えで迎えた直線も焦らない。ギリギリまで脚をため、前のセイウンコウセイが外に出したスペースを冷静についた。2着に半馬身差でも完勝。混戦のG1を堂々制した。

 こみ上げる特別な感情に言葉が詰まった。「レース前も、後にも、やっぱりよぎりました。キングヘイローが…」。このレースの00年の優勝馬でもある同馬が、レース5日前の19日に老衰で死んだ。デビュー2年目の97年に新馬からコンビを組み、東京スポーツ杯3歳Sで自身初の重賞V。牡馬クラシック3戦は〈2〉〈14〉〈5〉着と貴重な経験を重ねたがその後、ともに勝利を味わえなかった。

 「当時の自分は未熟で、結果を出すことができなかった。感謝の思いと同時に申し訳ない思いを強くいだいていた。キングヘイローがこのレースを勝った時、僕は2着馬(ディヴァインライト)に乗っていた。亡くなった週末に勝つことができたのも、縁なのか。そういうのがあるんですかね」と、表情を和らげた。

 スプリント界に誕生した新星はまだ4歳。この先に広がる、ともに歩む大きな夢に胸が躍る。「ダートも走れるし、いろんな選択肢がある。もちろん短距離界を引っ張っていけるよう、これからも頑張っていきたい」。もっと上へ―。その言葉は、天国への誓いにも聞こえた。(宮崎 尚行)

<今後は海外遠征視野 藤原英調教師「挑戦したい気持ちある」>

 米国を代表する名馬の父に届けた、日本初のG1タイトルにミスターメロディを管理する藤原英調教師は安どの笑みを浮かべた。「スキャットダディが(15年に)亡くなり、血脈をつくっていく重要な馬にならないといけないと。そのためにG1を勝たないといけないプレッシャーがあった。少しホッとした」。史上2頭目の無敗の米3冠馬となったジャスティファイなどG1馬を多数輩出した名種牡馬に頭を下げた。

 世界的な血統馬だけに、今後は海外遠征が視野に入る。レース後は関係者から英G1ジュライC(7月13日、ニューマケット、直線芝1200メートル)出走への声もかかり、「ヨーロッパもそうだがアメリカ、香港もある。どこがマッチするのか。どこかでは挑戦したい気持ちはある」とトレーナー。日本だけでなく、世界が注目する大きな第一歩を記した。(尚)

 ◆ミスターメロディ 父スキャットダディ、母トラスティレディ(父デピュティミニスター)。栗東・藤原英昭厩舎所属の牡4歳。米国・ベルタワーサラブレッドの生産。通算10戦4勝。総収得賞金は2億2034万3000円。主な勝ち鞍はファルコンS・G3(18年)。馬主はグリーンフィールズ(株)。

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